天気予報夕方の傾いた陽射しが向かいに座る彼女に差し込む。綺麗に流れる前髪からはいつもと変わらないきらめく瞳が漏れて目尻は今にも踊りだしそうに揺れていた。彼女の話に相槌も返事もせずに見ていたからか「みよ、どうしたの?私の顔になにか付いてる?」と不安そうな顔を向ける。
「違うの、バンビが今日も楽しそうだなって思って……」
「そう見える?」
「うん、とても」
そっかー、と呟いてティーカップを傾けるバンビを見守りながら自分は手元のストローを回して氷がコロコロと滑るのを指先で感じていた。
学校で初めて会ったときから彼女を中心に星が沢山回っていて、月日が経つ度に星の数も輝き方も変わっていくのをずっと観測していた。いつからだろう。彼女を取り巻く星たちの中で二つの星が一等星のように輝き始めて目が離せなくなったのは……
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