困ったお客様の工藤君~従業員日誌番外編~「薬を! 下さい!」
勢いよく頭を下げ、手のひらを灰原へと差しだす。しかし、その手に乗せられたのは大きなため息だった。
「ダメ」
にべもなく告げられ、この話は終わりだとばかりにコーヒーを啜る相棒をじっと見つめる。見つめる。
「……何度も言うけれど、これ以上強い抑制剤は出せないの。早くパートナーを見つけなさい」
「それが出来りゃ苦労しねぇよ」
「面倒だからってマスコミにパートナーが居るなんて嘘をつくからでしょ?」
そう、あんまりにもファンのSabに付きまとわれてつい言ってしまったのだ、物わかりの良い愛称最高のパートナーが居る、だなんて嘘を。
言い返せずに黙っていると、目の前に白い封筒が投げ出される。強い視線を感じつつ、しぶしぶ中身を確認する。DomSab用専用お見合い会場への案内だぁ?
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