穴だらけの証明閉じられたカーテンの隙間から月の光が入り込んでいる。曝された肌は瑞々しく照り、打ち寄せた仄かな月光は彼女の顔を浮かび上がらせた。
--溺れているようだ。
苦しそうに柳眉を寄せ、涙で潤みを滲ます顔を見ながら、いつも思う。熱に浮かされた虚ろな眸は一体どこを、何を見ているのだろう。うつくしい眼球に舌を伸ばすと長い睫毛は震え、瞼は固く閉じられた。
「恋がしたい」
妙に艶めいた、甘さの余韻が残る言葉。そう聴こえたのは彼女の声が擦れていたからかもしれない。どちらもオレを不愉快にさせることはなく、ただただ笑みを招くだけだ。
近くに落ちていたズボンを穿き、ベッドの隅に追い遣られていたクッションに背中を凭れさせる。サイドボードに置かれたリモコンに腕を伸ばし、何気なしにテレビのスイッチを入れた。映像が映し出されるまでの短い間、未だ何も身に付けていない████がベットの上で再び呟いた。
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