ラフ① ある日、グエルから依頼が来た。
これをある場所まで運んで欲しい、というメッセージと共に届いた荷はフットボールが入るぐらいの箱だった。なんでも、運んだ先で埋めて欲しいという。ついでに、開けないでくれ、と。
前金を言われた通りに払う社長に対し、やれやれ仕方がない、とオルコットは引き受けたがしょうがないだろうとサイドミラーの自分に言い聞かせた。なにせ、目的地がかつての、あの、学校だったのだから。
サイドミラーの自分はじとりと睨んでくる。地球でよく見る傷だらけの鏡とは大違いだ。というのも、箱と共に提供されたトレーラーは恐ろしくピッカピカの高性能で、案の定旅の始まりで良からぬ輩に襲われた。
結果。
オルコットは、誓って潔白だが、固定を本当にうっかりと忘れていた箱が転がり、その衝撃で箱の蓋が空いているのを見てしまった。
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