鬼が住まう家 R-18 少年は人気のない山の中に一人蹲っていた。
膝に顔を埋め、栄養が行き届かない小さい身体を更に小さく丸めている。ボロボロの布切れから覗く腕や足は酷く痩せ細り、大人の男が少しでも力を入れたらポキリと折れてしまいそうだ。草履すらないのかそれとも途中で壊れてしまったのか、少年は裸足で足の裏は泥や雑草の汁で汚れ、砂利道を歩いていたのか所々血で滲んでいる。せめて水で洗えばまだ良かったのだろうが、幼い少年はこの広い山の中からピンポイントで川を見付ける事は難しいだろう、化膿するのだって時間の問題だ。尤も少年にとって、それすらどうでも良かったのだが。
少年は所謂口減らし、簡単に言うと捨て子と言う奴だった。近年旱魃や病が蔓延る世の中で作物が育たないのも若い働き手から幼い子供、年老いた老人が次々と死んでしまうのは仕方のない事だった。
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