君に星を、俺に愛を。そして世界よ、永遠なれ。(仮タイトルです。)その感情に気がついたのは、どこにでもある、ありふれたある一瞬のことであった。
確か、陽光に照らされた彼の横顔を見たのが最初であったように思う。
彼はその時、のんびりと、そして何か遠くの子供を見るかのような顔で笑っていて、その横顔が、まなじりが、本当に、あまりにも、あまりにも美しかったのを吟はよく覚えているのであった。
そして、これから一生、決してその記憶は消えることはしまい。
そう強く、強く強く強く思わせるほどに、よく目に焼き付いた光景であった。
その、光に照らされている、美しい横顔を見たとき。
能登吟という青年は、初めて自分の感情を自覚したのであった。
苦しみと悲しみとは表裏一体。似ているようで全く違う。
悲しんでいる余裕があるものは苦しむ暇がないし、
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