迂闊なDANCE、微睡みのVOICE「あっちい!汗かいちまう。熱帯夜じゃねえ? 今日」
「お疲れ様、ネロ!」
郊外の欧州をイメージしたアウトレットモールに、季節外れのクリスマスツリーが立っている。
その傍でマフラーに顔をうずめ、視線だけで夜空を見上げていたネロが、カット、という声でそのアンニュイな表情をくしゃりと歪ませた。
コートを脱いで半袖のワイシャツにネクタイ姿になっていたヒースクリフが、カメラやスタッフの背後からネロへと駆け寄りながら、そうだね、と苦笑する。
今はまだ半袖で充分な季節だが、ネロもヒースクリフを追ってクーラーの効いた控え用のショップから出てきたシノも、その後からドア越しに早くこっちにこい、と手招きをしてみせたファウストも真冬の格好だ。
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