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    Lilykmt

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    Lilykmt

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    🔥🎴煉獄さんと炭治郎のファーストコンタクト
    捏造です。
    「お相手願おう」が書きたかったのです!満足笑
    そしてこの後成長した炭治郎にまた別の意味で「お相手願おう……」と鬼に見せる顔ではなく炭治郎しか見ることの出来ない顔で言うのです。むふふ。

    #煉炭#杏炭#🔥🎴

    闇深い丑三つ時、聞こえるのは激しい自分の心臓の音、呼吸をするごとに喉がひりつき山を駆ける足は疲労困憊、縺れ転び起き上がり尚山を駆ける。
    後ろから迫り来る闇の生き物、下卑た叫び声は喰らってやるぞぉと身の毛もよだつ言葉。
    嫌だ死にたくない、あれは鬼だ、紛うことなき闇の生き物。
    口は酸素を求めてハクハクと開き、木の枝が柔らかな頬を裂き着物の袖を破る。
    足が縺れる、息ができない、心臓が破れそうだ。
    止まるな、動け、走れ、生きたいのならば!!
    獲物を弄ぶようにわざと逃がし追い詰めて弱った隙を狙っている、鬼。
    思うようにはさせない、鬼は陽の光に弱いと聞いた。ならば最も早く日がさす東に向かって動け!
    そうやって己を鼓舞し、限界まで逃げてきたがいよいよ足が動かなくなってきた。
    意識は朦朧とし、着物も枝や鬼の弄ぶ爪でボロボロだ。せっかく母さんが繕ってくれたのに。
    恐怖と悔しさで涙が溢れて落ちる。
    こんな所で終わるのか、まだ家には母と幼い兄弟がいるというのに。
    俺が居なくなったらきっと泣くだろう、困るだろう、母一人ではきっと大変に違いない。
    父を早くに亡くし、貧しいながらもここまで育ててくれたのに。
    こんな鬼なんかに、悔しい、悔しい、せめて何か。
    足はもう動かない、心臓も破れそうだ、夜明けはまだずっと先だろう。
    「くそ、鬼なんかに……!!」
    地より拾いあげた土や石を、ヨダレを垂らしながら唸り声をあげる異形に投げつける。
    効くわけが無いのも分かっているが、なにかしたかった。
    鋭い爪が眼前に迫り、誰にも知られぬままここで果てるのか。
    ごめん、ごめんな、兄ちゃん帰ってやれそうにない。
    結い上げた髪は乱れ、頬や額には傷ができ、血が流れている。
    もうダメだと思ったその時、鬼と自分の間に一陣の熱風が立ち塞がった。
    夜の闇を照らす炎、まるでヒノカミ様が降り立ったのかと思うほどに眩い金の髪、片目が血で塞がりよく見えない。
    それでもその眼に焼き付く程に鮮烈な存在感。
    炎が踊るかのように見えたそれはその人が羽織っているマントで、翻るその影から見えた背中には、滅の文字。
    どこかで聞いたことがあった。
    そうだ三郎爺ちゃんだ。
    「鬼狩り、さま……?」
    「よく頑張った少年!俺が来たからにはもう大丈夫だ。さあ目をつぶっていなさい。ここからは少々手荒い」
    鬼狩り様の構える刀からは美しい炎が舞い上がった。まるで意志のあるように刀から吹きいでて、鬼狩り様を包み込み、強く強く何倍にも膨れ上がりそのかんばせを照らした。
    焔に照らされしその横顔は、鬼に向かっていると言うのに恐れを知らず、キリリと持ち上がった凛々しい眉に、炎が映された大きな眼、引き結んだ唇が持ち上がったその時、鬼狩り様から発せられた声は腹から響いて真っ直ぐと鬼へ向かう。
    「さあ、悪鬼、覚悟するといい。ここからはこの煉獄杏寿郎とお相手願おう」
    じゃりと地を踏みしめる音が鳴ったと思ったその時には、目の前にいたはずの鬼狩り様は鬼の向こう側にいた。
    目をつぶってなんか居られなかった。
    その姿を、その振るう刀の行先を見ていたかった。
    恐怖が身を包み縮こまっていた身体に、鬼狩り様の勇気が流れ込むかのように恐れはなくなっていて、まるでその姿をよく覚えておきなさいと父から言われたようにしっかりと見た。
    なんて強く、勇ましく、美しい。
    ヒノカミ様、この方はヒノカミ様だ。
    この鬼は何が起きたのか分からないだろう。
    そのくらい一瞬のうちに斬り捨てられたのだ。ことり、首がゆっくりとズレてまるで時がゆっくりと動いたように地に落ちる様を見た。
    地面に落ちた首は、こちらを見た。
    「美味そうだったのに、口惜し………」
    最後まで言わせなかった。
    ストンと鬼の頭を美しく炎のように輝くその刀が突き刺した。
    ボロボロと崩れ灰のように消えてゆく。
    立ったままの鬼の本体も、また同じように崩れてゆく。
    「偉かったな少年、君は賢く冷静だ。窮地にも関わらず鬼を日の出る方へと誘導した、その知恵、体力、心意気は素晴らしい」
    伸ばしてくれた手は、たくさんの傷があった。分厚く肉刺が何度も潰れた跡がある。固いその手をしっかりと握って立ち上がると、目の前の鬼狩り様に深く頭を下げた。
    「俺は竈門炭治郎と言います。助けて下さってありがとうございました!」
    「俺は鬼殺隊炎柱、煉獄杏寿郎だ。君も鬼殺隊に入るといい!その勘の良さは必ずや役に立つ。鬼殺隊に入ることが出来たなら俺の継子になるといい、尋ねておいで」
    俺の目線まで屈んで、頭を撫でながらそう言ったこの煉獄杏寿郎さんと、再び相見えるのはもう少し先のこと。
    この人のように強くなりたい。
    胸に灯された火は炭治郎の中で強く強く育っていった。
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    Lilykmt

    DONE🔥🎴煉獄さんと炭治郎のファーストコンタクト
    捏造です。
    「お相手願おう」が書きたかったのです!満足笑
    そしてこの後成長した炭治郎にまた別の意味で「お相手願おう……」と鬼に見せる顔ではなく炭治郎しか見ることの出来ない顔で言うのです。むふふ。
    闇深い丑三つ時、聞こえるのは激しい自分の心臓の音、呼吸をするごとに喉がひりつき山を駆ける足は疲労困憊、縺れ転び起き上がり尚山を駆ける。
    後ろから迫り来る闇の生き物、下卑た叫び声は喰らってやるぞぉと身の毛もよだつ言葉。
    嫌だ死にたくない、あれは鬼だ、紛うことなき闇の生き物。
    口は酸素を求めてハクハクと開き、木の枝が柔らかな頬を裂き着物の袖を破る。
    足が縺れる、息ができない、心臓が破れそうだ。
    止まるな、動け、走れ、生きたいのならば!!
    獲物を弄ぶようにわざと逃がし追い詰めて弱った隙を狙っている、鬼。
    思うようにはさせない、鬼は陽の光に弱いと聞いた。ならば最も早く日がさす東に向かって動け!
    そうやって己を鼓舞し、限界まで逃げてきたがいよいよ足が動かなくなってきた。
    意識は朦朧とし、着物も枝や鬼の弄ぶ爪でボロボロだ。せっかく母さんが繕ってくれたのに。
    恐怖と悔しさで涙が溢れて落ちる。
    こんな所で終わるのか、まだ家には母と幼い兄弟がいるというのに。
    俺が居なくなったらきっと泣くだろう、困るだろう、母一人ではきっと大変に違いない。
    父を早くに亡くし、貧しいながらもここまで育ててくれたのに。
    こん 1947

    Lilykmt

    DONE🔥🎴でキスの日!短いお話です。
    さりげなく🔥さんがプロポーズしています。
    日差しがたっぷりと降り注ぐ庭、煉獄家3人分と自分の洗濯物を洗い終えた炭治郎は、真っ白にはためく洗濯物を見て、よしっと呟いた。
    今日はいい天気なので乾くのもきっと早いだろう。
    庭の草むしりなどは普段千寿郎が、部屋の掃除は槙寿郎がやってくれている。
    煉獄の姿を探すと、縁側に出る部屋の柱に身を持たせかけて、炭治郎へ慈しみの目を向けて佇んでいた。
    「煉獄さん!」
    「洗濯物をありがとう炭治郎」
    庭へと下りた煉獄に走りよった炭治郎は、いいお天気なのでついたくさんしてしまいましたと笑う。
    「手伝わなければと思いつつも、すまない。見とれてしまった」
    「煉獄さ…」
    「まるで君がこの俺に嫁いできてくれたかのようで、錯覚を起こす」
    「煉獄さんさえ良ければ、俺はあなたの妻になりたいです」
    片腕も効かないし、痣ものでいつ果てるとも知れぬ命ですがそれでもいいならと微笑む。
    「俺こそ片目も見えぬ男だ。けれどお互いになにも支障はないな!無理をしてはいけないが、君はこれ以上ないくらい頑張っているし…俺は君が好きだ」
    洗濯物が風にはためく音、不器用ながらも真っ直ぐな言葉に炭治郎は目を丸くし煉獄の言葉に口元を綻ばせる。
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