ある「元」光の戦士の6.01その3フェオは激怒した。
必ず、『かわいい若木』の心を覗かねばならぬと決意した。
フェオには人間の心がわからぬ。
フェオはイル・メグのピクシーである。
魔法を操り、人間と遊んで暮らしてきた。
けれども『かわいい若木』の気まぐれには人一倍に鈍感であった。
今日未明フィーネはクリスタリウムを出発し、世界を越え山越え、十里はなれたここモードゥナの市にやって来た。
――探さないでください――
そんなありきたりの書き置きを残して。
それがどれほど『美しい枝』の機嫌を損ね厄介なことになるかとも知らずに。
「モードゥナって食べ物売ってないの?」
市に並ぶのは採集を行う者、製作を行う者向けの品ばかりだが、道具や装備に限っていて、料理の素材になりそうなものは何ひとつない。
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