布団にうつ伏せになり、安タバコの煙を吐く。充足感とかそんなものはなかった。隣で寝巻きをほとんど着れていない幻太郎が立ち上がる。
「十時から予定がありますので、それまでには、ね」
俺は無視をして幻太郎の脹脛を這う液体を眺めた。
「けっこう大変なんですからね、こっちは。あなたはいいんでしょうけど、小生、朝になっても十時になってもずっと腰が重いんですよ」
タバコの火を幻太郎の裸足の指に押し付けようとすると、裸足は逃げた。
「ろくでなし」
幻太郎が風呂場へ行ってしまってから、俺は立ち上がって私服を着、幻太郎の布団を蹴ると布団に染みた体液が靴下に移って気持ちが悪かったので靴下を脱いで布団に投げつけ、灰皿を蹴散らして幻太郎の家を出た。
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