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    おこ

    torimune2_9_

    DONE①名前を呼んでほしい坊ちゃん
    ②坊ちゃんと特別授業
    ③坊ちゃんと激おこ執事
    ④坊ちゃんと悪天候
    ⑤風邪ひき坊ちゃん
    SSまとめ◆名前を呼んでほしい坊ちゃん
    「坊ちゃん、起きてください」
    聞こえてきた声に、ふわふわとぬるま湯の中に浸かっていた意識が浮上する。瞼越しに柔らかい光が差し込んで、遠くからいつも窓際にいる小鳥たちの鳴き声がした。柔らかい布団の中良好な睡眠をとったお陰で頭はすっきり冴えている。いつもの自分ならすぐにでも起きておはようと返事をするだろう。
    「……坊ちゃん?」
    けれど今日は違う。寝返りを打って、枕に顔を埋めて、聞こえていないふりをする。下手な演技だろうが、そこは問題ない。寝たふりも、その意図も、彼は正しく理解してくれるはずだ。
    (――今日こそ名前で呼んでもらうまで起きん)
    彼、炎司が執事となってから短くない時間が経ったが、生真面目な彼は啓悟のことを頑なに「坊ちゃん」と呼ぶ。それが嫌と言うわけではないが、折角なら名前で呼んでほしい。だって以前は名前で呼んでくれていたのだ。それが主従関係になったからダメだなんて。『前みたいに呼んでほしい』。ある時ぽろりと零したそんな些細なお願いに、炎司の解答は無情にもNOだった。
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    そらの

    DOODLEIF設定の種運命時のイザキラに到るはずのお話。
    ・捏造設定多数あり・シホについてはほぼ捏造・公式男女CPは基本的に準拠・ヤキン後イザキラ顔合わせ→終戦条約締結までアスラクキラがプラントにいた設定・イザが議長に疑念を抱くことからラク暗殺がおこなわれずに話が展開する。完結してない。できるかもわからない。
    軍人になれなかった男(仮題)(イザキラ)序章


     痛い! 痛い! 痛い! そう叫ぶ己の声を忘れない。焼け付くような痛みを忘れない。己の血が玉となって無重力に舞うのを忘れない。何一つ忘れはしない。
     アカデミーで切磋琢磨した友人がいた。その友人らと将来を有望視され、クルーゼ隊の一員になった。戦場を知らないこどもであった己は、この友人らと終戦を迎えるのだろうと思っていた。友人らの中でも、己と憎らしいことだがアスラン・ザラは白服を纏うことになる。そうして国防の担い手となるのだと思い込んでいた。しかしそんな空想など、戦場に出るなりすぐに打ち砕かれてしまった。ラスティ、ミゲル、そしてニコル。どうして彼らは死なねばならなかったのだろう。彼らも国を守りたいという志を持った志願兵だ。ニコル・アマルフィなど己より二つ下の一五歳でピアニストとしての才能を有した、やさしい少年であった。争いを好まず、反りの合わないアスランと己との些細な衝突でも、いつも仲裁に入るような少年だった。なんで。何故だと目の前が真っ赤になった。込み上げ溢れ出す涙の熱さで頬が焼けるかとさえ思った。けれどそれが零れ落ちてしまえば、残るのは冷たさだけでそれは憎しみによく似ていた。
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