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    アルカナ

    岩藤美流

    DONEお題「赤/ヴァルプルギスの夜」です。

    捏造と不穏だらけの話ですが、付き合ってるアズイデ。でも確信には触れてません。
    いでぴの設定がわからないことにはなあ、と考えていたんですが、確定してない今だからこそ書けることもあるかなと思って。
    いでぴが夜食を食べたがるのは、向こうの世界の食べ物を食べたら……みたいなアレがアレしてるイメージです
     赤。
     ポツリ、ポツリと赤い炎が揺れている。風に揺れるそれを見ながら、夜の闇に身を寄せていると、声がする。名を呼ぶ声が。
     それに耳を貸さずにいれば、やがて目の前にぴょこりと青い炎が飛び出したから、イデアはハッとして目の前の弟に視線を戻した。
    「兄さんってば! 聞いてるの?」
    「ああ、ご、ごめん、考え事してた……」
    「もう、こんな暗いところで考え事してたら、転んじゃうよ? どうかな、炎はこれぐらい置けば十分かな?」
     イグニハイド寮の片隅、建物の灯りも届かない真っ暗な闇の中に、ポツリポツリと目印のように置かれている炎。本来は赤く灯るように成分が調整されたランプを置くのだが、学園内で無用の炎を使うのは流石のイデアでも気が引ける。だからそれは、炎に良く似せたホログラムの浮かび上がる、手のひらほどの端末だ。オルトの整備用部品の余りなどを使って作り出した、疑似ランプ。それが、道を作るかのように点々と並び、イグニハイド寮の入口から続いて闇に向かって伸びている。二人がいるのは、そんな闇とランプの境目だった。
    「こんばんは、お二人共」
     そこへ、声がかかる。見れば寮の方から、銀の髪を揺らし、本来そ 3586