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    イリス

    fmk118

    DOODLEサラリーマンあべさん×ネイリストあしやさんの出会い編 カタカタと絶え間なくキーボードを叩いていた指先に、ふと違和感を覚える。パソコンのモニターに固定していた視線を手元に下ろすと、左手薬指の爪が見事に割れてしまっていた。
    「はぁ……」
     溜息を吐き、袖机の一段目から絆創膏の箱を取り出す。箱の中身はもう随分と減っていた。そろそろ買い足しておかねばならないだろう。残り数枚のうちの一枚を取り出してぺりぺりと包み紙を剥がし、指の先に巻きつける。
    「晴明様、またお爪が割れてしまわれたのでしょうか?」
    「ええ。少し爪切りを怠るとすぐにこれです」
     声を掛けてきたのは、晴明の対面の席に座る女性社員、藤原香子だった。同じ大学の出身であり、晴明の部下でもある。
    「あのぅ……晴明様もネイルサロンでお手入れしてもらってはいかがでしょう?」
    「ネイルサロン?」
     自分のPCモニターの陰からおずおずと顔を覗かせて、香子は提案する。
    「私の友人が勤めているネイルサロンでは、男性の方も爪のケアのために来店されるそうです」
    「ほう、男性もですか」
    「はい。私も以前は爪が薄くて割れやすいことが悩みだったのですが、その友人に勧められてネイルをはじめてみたのです。今ではキーボ 4911