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    キラ

    さいとう

    MAIKINGイトアキ
    1.5衣装のアキラくんがカジノのディーラーしてるところにライトさんがくる話 の2個目
    カジノがあるのはホテルの7階で、フロアを隅から隅まで使って展開していた。アキラはライトを改めて誘ってエレベーターへ向かう。カジノ専用になっていて、二階のロビーかさらに上階のレストランフロアにしか行けないものだ。
    「あんた、仕事抜けたのか?」「いや、上がったんだよ。もともと僕の契約は二十時までなんだ」
    いまは二十一時になろうという頃合いだった。ライトがゆるりと眉を上げる。「あなたとのゲームが楽しくてね。あ、残業も付くから安心してくれ」「…つまり、時間を忘れて楽しんでた、ってことか?」「ふ、そうなるね」「そりゃ嬉しいもんだ。俺も楽しかったからな」「それは、うん、あなた本当に楽しそうだった」
    エレベーターが止まった。十一階のフロアにはレストランが二軒と、バーが一軒ある。どれもパノラマ展望が売りで、もちろん味も良い。「料理の好みは?」「なんでも食うが、強いていうなら味は濃いほうがいいな」「お酒は飲まないんだったね。ならこっちにしようか」「ん、あんたに任せる」選んだ店に入りカードを見せた。カジノのスタッフだとわかると、店員があらかじめ押さえておいた席に案内してくれる。夜景が見られるテーブル席だ。ライトがちらりと外を見ている。高いところも大丈夫そうでよかったとその横顔に思った。細められた目は楽しそうだ。
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    fujimura_k

    MOURNING現パロ月鯉 珈琲専門店・店主・月島×画家・鯉登
    脱サラしてひとりで珈琲専門店を営んでいた月島が、画家である鯉登と出逢ってひかれあっていく話。
    作中に軽度の門キラ、いごかえ、菊杉(未満)、杉→鯉な描写が御座います。ご注意ください。
    珈琲 月#1 『珈琲 月』


     そのちいさな店は、海の見える静かな街の寂れた商店街の外れに在る。
     商店街は駅を中心に東西に延びており、駅のロータリーから続く入り口付近には古めかしいアーケードが施さていた。年季のいったアーケードは所々綻びて、修繕もされないまま商店街の途中で途切れているものだから一際寂れた雰囲気を醸している。
     丁度、アーケードの途切れた先には海へと続く緩やかな坂があり、下って行くと海沿いの幹線道路へと繋がっている。坂の途中からは防波堤の向うに穏やかな海が見え、風が吹くと潮の香りが街まで届いた。
     海から運ばれた潮の香りは微かに街に漂い、やがて或る一点で別の香りにかき消される。
     潮の香りの途切れる場所で足を止めると、商店街の端にある『カドクラ額縁画材店』の看板が目に入るが、漂って来るのは油絵の具の匂いではない。潮の香にとって代わる香ばしく甘い香りは、その店の二階から漂って来るモノだ。
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