コグマ
越後(echigo)
DOODLE第一話の前。スーベニールの後。細かく言うと「こぐまさがると、あたらしいふく」で語られた、こぐまさがるの過去の直後です。全年齢。CPなし。出番は山、近、銀、ちょっと土。番外編:こぐまさがるの、なまえ。 此の世界では、ひとは名を持って発現する。
名は[[rb:器 > からだ]]と[[rb:魂 > こころ]]の結びである。名を疎かにすることは、魂のあくがりを招く。あくがれた――解き放たれ、器を持たぬ魂は、放置すれば世界に融ける。
名は結びであり、言葉である。
言葉によって己の名を認めることではじめて、ひとはここに在る。
ゆえに、発現したばかりで言葉を持たないおさないひとびとは、形を成しつづけるために他から名を呼ばれるが必定となる。
おさないひとの名を知る術を持つものは幾人か存在するが、「きまり」として、「番人」の役をおうものは必ず名が見えた。
◇◇◇
常春の陽気が新緑の薫りとともに、よろず屋と銘うたれた邸を包んでいる。
4118名は[[rb:器 > からだ]]と[[rb:魂 > こころ]]の結びである。名を疎かにすることは、魂のあくがりを招く。あくがれた――解き放たれ、器を持たぬ魂は、放置すれば世界に融ける。
名は結びであり、言葉である。
言葉によって己の名を認めることではじめて、ひとはここに在る。
ゆえに、発現したばかりで言葉を持たないおさないひとびとは、形を成しつづけるために他から名を呼ばれるが必定となる。
おさないひとの名を知る術を持つものは幾人か存在するが、「きまり」として、「番人」の役をおうものは必ず名が見えた。
◇◇◇
常春の陽気が新緑の薫りとともに、よろず屋と銘うたれた邸を包んでいる。
越後(echigo)
DOODLEこぐまさがる番外編小ネタ。!暗い話!書付けレベルなので後で修正するかも。
スーベニール4おおかみのみた情景。
狼は怒っていた。無作法なことに、彼の不在を狙って友人が寝床を洗ってしまったのだ。すっかり臭いの消えてしまった、すべすべしすぎる布を敷かれて彼はたちまち不機嫌になった。
まず玄関から飛び出してあちこちを駆け回る。帰ってくるなり、かつての自分専用の敷布に寝転がると身体をこすりつけ、泥汚れと己の臭いをまぶした。友人の叫びが聞こえ、ほどなく呆れたような笑い声に変わってしまったが知るものか。これは己のものなのだ。そのための臭いだ。
彼は身体を起こして、今度はわからず屋の友人に飛びかかる。また悲鳴が上がった。身体をすりつけて顔をなめてやる。
そもそも、こいつは臭いが薄すぎるのだ。すぐに水に身体をさらして体臭を落としてしまうし、日によっては妙な臭いを擦り込んでから帰ってくる。自分の臭いも管理ができない、しょうのないやつだ。そんなことを考えながら、彼は頭頂を友人の顎にすりつけてやる。
1238狼は怒っていた。無作法なことに、彼の不在を狙って友人が寝床を洗ってしまったのだ。すっかり臭いの消えてしまった、すべすべしすぎる布を敷かれて彼はたちまち不機嫌になった。
まず玄関から飛び出してあちこちを駆け回る。帰ってくるなり、かつての自分専用の敷布に寝転がると身体をこすりつけ、泥汚れと己の臭いをまぶした。友人の叫びが聞こえ、ほどなく呆れたような笑い声に変わってしまったが知るものか。これは己のものなのだ。そのための臭いだ。
彼は身体を起こして、今度はわからず屋の友人に飛びかかる。また悲鳴が上がった。身体をすりつけて顔をなめてやる。
そもそも、こいつは臭いが薄すぎるのだ。すぐに水に身体をさらして体臭を落としてしまうし、日によっては妙な臭いを擦り込んでから帰ってくる。自分の臭いも管理ができない、しょうのないやつだ。そんなことを考えながら、彼は頭頂を友人の顎にすりつけてやる。