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    ナノ

    Rhea_season

    DONEディミトリが眷属となった世界線のディミレトです。
    現代を生きています。
    とても長生きをしてきたので、色々雰囲気違う…ということにしてください。
    前後編予定なので、そのうち後編もあると思います。
    (後編はR-18予定なので、その際は色々また設定を変更します)
    全編はR-18ではありませんが軽く接触はしているのでそういうのがNGの方、BLが無理というかたはお気をつけください。
     □

     人混みのなかで、ふいに視界がにじんだ。
     疲労というよりは、おそらくこの暑さのせいだろう。
     じっとりとまとわりつく空気に呼吸さえ重たくなり、額に滲む汗を拭うことさえ億劫に思える。

     暑さに関しては、いつまでたっても好きにはなれなかった。ファーガスで過ごした日々から、もうずいぶんと時が経つ。あの厳しい冬を越えてきたファーガスの記憶が、肌の奥に残っているのだろうか。今は穏やかで温暖な土地に身を置き、季節の移ろいもやわらかく感じるようになったというのに、こと暑さだけは、昔と変わらず身体に馴染まない。むしろ、記憶にある冷たい風や雪の匂いが、恋しくなることさえある。けれど、そんな苦手な暑さのなかでも、こうして隣に彼がいてくれるだけで、心は静かに落ち着いていくから不思議だ。
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    ナンデ

    DOODLE手放したことなんてなかったよ

    前世記憶有り・現代世界転生・年齢逆転のアレルノ
    呟いたものをふわっと小説にしたふわっとした小話なのでふわっと読んでください。ふわふわ。
    千年隣に居させて欲しい、貴方の蒼と魂の ルノーの未練は永くアレインを独りにしたことだった。未練は後悔と混ざりあって執念に変わる。生きていた頃と同じように、ルノーの魂は熱く燃えて、魔法ではなく科学が蔓延り、馬ではなく低燃費軽自動車が走り回る世界に生まれる時に「今度こそ、あの方を置いていきたくない」と大層踏ん張った。その結果が、これだ。
    「ルノー……久しぶり」
    「陛下……」
    「はは、良かった。覚えていてくれたんだな。……もう陛下じゃないし、殿下でもないけど」
     いたずらっ子のように微笑む、かつての恋人は見るからに上等のスーツを着ていた。薄青のシャツに、あの紋章を思わせる濃い青のネクタイをしめている。目元には少し皺が寄っていた。慣れた着こなしと落ち着いた表情は、大人の男そのものだった。問題は、ルノーが着ているのが学生服だと言うことだ。県内でも有数の進学校の創立当初から変わらないレトロな学ランに、夏休み明けに新調したスニーカー。抱えているのは教科書が詰まったナイロンリュックで、これは高校入学の祝いに祖父母に買って貰ってから一年半と少し、大事に使っているものだった。
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