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    ネコ

    iamkakure_

    PASTルイ亜です。ギリギリ全年齢。
    亜蝶がネコちゃんになってしまった
    赤目の黒猫(ルイ亜)【亜蝶】10時、オフ、火曜日。
    いつもより布団が重たい気がする。
    というか、大きい気がする。
    そう思って、眠たいながらに前髪をグシャッとあげようとした時に、
    その前髪がないことに気が付いた。
    だが、毛の感触はある。脱毛は済ませているはずなのだが。布団から出るのにやたらと時間がかかるので、鏡でも見に行くか。
    【ルイ】9時、オフ、火曜日。亜蝶がいない。軽く部屋を見に行ったのだが、布団は人型のそれを保ったままに、誰もいなくなっていた。俺が見逃すはずがないのだが。鬨に聞いたが、散歩に行かれたのですかね?と寝ぼけ半分に答えるだけであった。あいつが出かけるとしたら一体どこに向かうのだろうか。
    【亜蝶】11時、オフ、火曜日。鏡を見ると、そこには俺が写っていなかった。いや、正確には「いる」が、これは俺ではない。天井という天井は大聖堂のように高く、椅子は柱のように、床の木目は畳のような広さだった。そしてこれは、俺にとって、あまりにも、認めたくない現実である。ふさふさの尻尾と耳を自らの意思で動かせるあたり、やはりそうなのだろう。烏麻亜蝶は─俺は、猫である。
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