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    パイロン

    ネオン(どシコりシコ太郎)

    PROGRESS・パイロンとデッドローンのアレから豊かな妄想を膨らませた、イマジナリ香港マフィアパロ?話
    ・九龍城塞が世界で唯一都市となった微小特異点という世界設定
    ・九龍城塞をモチーフにしている以外の世界感がかなり捏造ばかりなのでご留意を
    ・パイデの衆人環視スケベを書くために書き始めたネタなのに…
    ・ラストまでストーリーラインできてしまったから8月後とかにできれば最後まで書きたい
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    「……ツボ」

    血の色の長袍(チャンパオ)を纏った、老翁というには精悍な白髪の短髪が、低く小さく呟く。白々しく光る蛍光灯を受けても、小さな正円のサングラスに隠れた瞳は覗かれることを良しとしていないようだった。

    「任された! アンタたち、しっかり目ん玉開いて見ておきな! 壺をかぶるよ」

    中盆の翁の進行を受け、場を挟んでその真正面に座っていた女の、張艶のある声が響く。後頭部の高い位置で一括りにされたマゼンタのロングヘアがしなやかに揺れる。
    ここはこのエリア――少し前までは九龍(カオルーン)と呼ばれていた、とある国の半島地区であり、今となっては世界に唯一存在する都市――の中で数少ない、公認されている賭場のうちのひとつである。
    いま執り行われているのは「丁半」というダイスを使った賭け事だ。世界が矮小化される前に存在していた「二ホン」という国の古い賭博で、それに合わせてなのかこの賭場の内装もその二ホンの伝統的な造りを模したものになっていた。床材は畳――板に藺草(いぐさ)と呼ばれる植物を織り上げた、目の細かい、微かに青みがかった色のもの――が何枚 5619