フェイント
𝕃𝕚𝕖𝕣𝕖
DONE※諸事情のある少女と夜は喋りにくい男の話。『つきのつるぎ、ほしのほうじ』、『If all the world were apple pie,』を読んでいるとまだ分かりやすいかも。総じて書きたいシーンしか書いてないんですけど……これハッピーエンドになるんですよね?マジでどうする気……???(カフェインと深夜テンションと性癖で形作られたシーン)(まあ……なんとかなります……)
Snedronningen 彼に貰ったスケッチブックを抱えて、昏い庭へ出ました。植物を育てているので遮蔽物が少なく、空を見回せます。
月は、金星の反対側にありました。
月蝕──とても深い部分蝕で、月のほぼ全体が影に覆われています。満月のはずですが、三日月のように細くなって、赤黒く見えました。
背を向けて、花壇の傍の小径に座り込みます。土汚れも何もかも、もう、どうでもよかったのです。黒耀の髪は宵闇に融けて境目を失い、白魚の手すらも翳りに呑み込まれていきます。
恋を、自覚した日でした。
──最悪だ。
天に輝く[[rb:宵の明星 > いちばんぼし]]から、地に転がる小石まで。この世の全てが憎らしく思えました。
間違っていたのは世界でしょうか。
2029月は、金星の反対側にありました。
月蝕──とても深い部分蝕で、月のほぼ全体が影に覆われています。満月のはずですが、三日月のように細くなって、赤黒く見えました。
背を向けて、花壇の傍の小径に座り込みます。土汚れも何もかも、もう、どうでもよかったのです。黒耀の髪は宵闇に融けて境目を失い、白魚の手すらも翳りに呑み込まれていきます。
恋を、自覚した日でした。
──最悪だ。
天に輝く[[rb:宵の明星 > いちばんぼし]]から、地に転がる小石まで。この世の全てが憎らしく思えました。
間違っていたのは世界でしょうか。