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    ペル

    ひー@hi_5106

    DONE「いつかは恋人」千空×司
    アメリカへ向かうペルセウス号での一幕。
    千司webオンリーイベント『賢者と旗手を結ぶ糸』展示作。
    いつかは恋人 アメリカへと向かう船で、司の定位置といえば甲板だった。バトルチームへ稽古をつけたり、荷物を運んだり、筋トレをしたり。何をしているかは様々だったが、とりあえず司を探している時は甲板に向かえばそのうち会うことができた。忙しい筈の千空と日に何度も顔を合わせることができるのも、司が動線の途中である甲板をうろうろしているからに他ならない。そう、司は考えていた。
     無事に航路が決定し、航海は順調に進んでいる。心地よく吹く風がペルセウスを押し進め、帆は絵画のように美しく膨らんでいた。真水が満タンに入った樽を両手に抱えた司がキッチンへと向かう途中、何やらガチャガチャとガラスがぶつかる音を響かせながら歩く千空と行き合った。樽を抱えて幅をとる司がすれ違う為に横を向いて立ち止まると、千空はそのまますれ違うのではなく足を止めた。ビーカーが詰まった木箱が重いのなら運ぶのを代わろうと、司はすぐそこだった目的地へ足早に入った。フランソワに一声かけてから両手に持っていた樽を置いて、これで進行中のタスクがなくなったとキッチンへの往復を待っていた千空に声をかける。
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    bach_otamama

    DONEフォロワさんへのお誕生日プレゼント代わりの掌編です。
    聖下の話。時間軸としてはROM6のパウラのバトル直後。
    ラストはレクイエムの歌詞ですが、ミサの際に唱えられる言葉でもあるそうです。
    本来は日本語に「レクイエム・アエテルナム・ドナ・エイス、ドミネ、エト・ルクス・ペルペトゥア・ルケアット・エイス」とラテン語のカタカナ表記をするべきなのだと思いますが、読みづらいのでラテン語の原文と邦訳を併記しました
    三度、知らないと言って 天地がひっくり返ったのだとあの時思った。実際にアイアンメイデンが回転し、文字通りひっくり返ったといえなくもないことをアレッサンドロはよく知らない。ただ、自分の命など歯牙にもかけないと思っていたパウラから向けられる眼差しが、これまでとは少し違っている気がした。

     冷厳なシスターの視線に込められたものをどう表せばいいのかアレッサンドロはわからない。かつて、幼い頃父に侍っていた女達が見せたような媚びとも、即位してから多くの者に向けられてきたような軽侮の念や失望などとも違う。むしろ、今までのパウラから向けられていたものはそれが近い。失望や軽侮ではなくもっと乾いたそれ、無関心という方が近かった。しかし、今のパウラがアレッサンドロへ向ける声や眼差しには立場上だけでないいたわりも感じられる。それは、亡き人を思い出させた。色も、性別も違うのに。
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