お互い本当に嫌いになった訳ではない。売り言葉に買い言葉。喧嘩の内容だって何ら他愛もない。偶々その日は互いに虫の居所が悪かっただけ。俺達はあっけなく別れた。
　学生の頃から好いていて、それでもちゃんと付き合い始めたのは卒業後。ちゃんとってのは、そういう行為付きになった付き合い方って話。在学中も互いの恋を認識していたけど、立場とか、周りから認めて貰う為にとか、そんなんがあったから恋人未満。卒業して寮を出る時、一緒に住めばいいじゃんと、さも当然かの様に同棲も始めた。戸建てでも買っちゃう？　なんて言い始めたもんだから、俺の資金では流石に買える額でもないし、慌てて今ある先生のセーフハウスの一つに転がり込んだんだっけ。

ナーヴ聖典絵本のプロット的な何か神は天に国を築き生命を貴び、民は己が神を信じ天に昇らんとす。
斯くて平穏は保たれ、国の栄華は永らえたり______


この世界には私たちを隔てなく愛し、
見守ってくださっている神様がおられます。

この世界は元々いくつかの国に分かれていましたが、神様はその全てを愛しておられました。

そんな神様には愛する御子がいらっしゃいます。
天子様は神様の子。
ひとたび祈れば百の富が降り注ぎ、
その御手を振れば千の幸が与えられ、
尊い御声で万の生命が芽吹きます。

天子様も私たちのことを愛してくださり、
私たちもまた天子様のことを愛していました。

そんなある日、天子様が悪い国にさらわれてしまいました。
天子様の御心を独り占めしようと考えてのことでしょう。