Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ヤモリ

    masasi9991

    DONE土蜘蛛さんと大ガマさんと巻き込まれる大やもりさん血だるまで火だるまで災難


     うわ鼻血出てる。
     うららかな午後の日差しに大ガマの鼻血は全く心臓に良くない。しかしぎょっとして目を逸らした先にも、血が点々と……いや、そんな生易しい量じゃない。おびただしい量の血を垂れ流し、庭に血痕を引きずりながらこっちに歩いてくる。
     咄嗟に目を逸らしたけど、正解は『このまま何事もなかったかのように帰宅』だったかもしれない。
    「お、大やもり」
     声をかけられてからではもう遅い。おれはカモネギだ。
    「なに、やってんの」
    「そりゃこっちのセリフだよ」
     鼻血を手の甲で擦りながら喋るから何を言ってるのか聞き取りづらい。よく見ると顔もボコボコに腫れてるし、大ガマの声が変なのは鼻血だけのせいじゃないのかも。
    「いやおれは別に頼まれたもの持ってきただけなんだけど。いや大ガマに頼まれたやつじゃないから。ただの通りすがり」
    「いや、が多いな。なんでもかんでも否定から入るんじゃねえぞ。どんどんめんどくせえ奴になる」
     喋る途中で横を向いたかと思うと庭の池に向かってプッと唾を吐いた。唾というかほとんど血の塊。汚……見たくなくてまた目線を逸らす。こいつ人んちで何やってんだ 2669