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    リンチ

    ya__ma__do__ri

    CAN’T MAKE銃理です ジュにペロリンチョされるリ
    随分とまぁ可愛らしい姿になったものだと彼を抱き上げる。

    勿論、普段なら叶わない行為だ。上背も体重も己より大きい筋肉質な成人男性を軽々と持ち上げるなど不可能と呼んで差し支えない。現在の毒島はまるでゲームセンターやアミューズメントパークで景品として売られているぬいぐるみである。もとより幼い顔立ちは更に幼児的柔らかさを増し、ハロウィーンの仮装が一層年齢不詳の外見に拍車をかけている。大腿の上に乗せ白い頬を撫でると、予想通りの柔さを感じた。あまりにも強く突くと破いてしまいそうであるが指先の心地よさが堪らない。入間は手袋を外して直接毒島の頬の感触を堪能し始めた。焼き立てのパン、蒸し上がった直後の饅頭。入間は昼餉を食べ損ねていたが、仕事で抜く事も多々あり慣れてしまっていたのと、現在の状況に驚いて己の肉体が空腹を訴えている事に気付かなかった。そして彼は朝もまともに食べていなかった。働き、山道を登り、疲れを感じた若く長身の肉体はエネルギーを求めていた。先程から頬を優しく撫で、突き、こねくり回す入間の頭はぼんやりとしており、翡翠の瞳もとろんとしている。結論を言えば糖分を求めていた。和菓子より洋菓子が好みである。
    1917

    限界羊小屋

    DONEフレリン 本編前
    リンちゃん呼びの由来とお台場デートの話
    サイハテ紀行記 タンブラーに少し残ったショコラを前に、肘をついたリンドウは大きな溜息を吐き出す。フードコートは女子高生のグループや小さな子供を連れたパパさんママさん、それからせいぜい大学生と言った出で立ちのカップルに満ち満ちていた。正直言って自分は浮いている。
     高校生にもなって親と、しかも母親と買い物というのは正直恥ずかしい。恥ずかしいが、カッコ悪くない程度に服を揃えておこうとすると高校生の小遣いでは太刀打ちできない。ECサイトでも使わせてくれればいいものを、母親は「見てみないと似合うか分からないじゃない」などと遅れたことを言ってお台場くんだりまでリンドウを引っ張ってきた。ついでに荷物持ちにする魂胆らしい。
     高校生活が始まって1ヶ月と少し、クラスメイトの顔は大体覚えた。幸いにして今日は誰とも顔を合わせずに自分の買い物を終えることができた。シームレスに自分の買い物に連れ回そうとする母親に「俺休んでるから」と告げて1階のフードコートに逃げ込み、ドリンク一杯で暇を潰している。やることもなくスマホでネットニュースを検索していた彼の耳に、学校のどこかで聞いた声の呼びかけが届いた。
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