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    レンズ

    chimomo03

    PROGRESS雲騎軍のフレンズとトンデモ設定のエロ小説を読んだ彦がとんでもない夢を見る話…になりたい……(諸々修正前です)
    7/28新刊進捗(彦景)屋敷に帰る度、避けられない現実を直視することになるのだが、剣山のようになった自分の部屋の戸を少し開けて、空気を入れ替えつつため息をつく。いつまでもこのままにしておけないのは分かっているし、部屋を増やすか、剣を飾る小屋のようなものを用意するに足る資金が貯まるまで剣を買うことを我慢することで、いずれはこの部屋も本来の目的で使用できるはずだろう、という理屈は分かっている。ほんの数年の辛抱など瞬きのうちかもしれないけれど。
    「ううっ……でも、それまで我慢できる気がしないよ」
    誰もいない廊下でひとり呟きつつ、落ちた気分のまま項垂れて部屋の戸をまた閉め、更に奥の部屋に向かった。風呂上がりの素足が、ひんやりした床の木材に触る感触は心地良い。いつもよりゆっくりと、手入れされた中庭の風景なんて眺めながら歩く。わざわざ人を呼んで整えてもらっているのでそこらの庭園よりは整っているけれど、この屋敷に将軍が人を招くことはほとんどないので、そこまでして維持する理由もよく分からない。出征すれば半年近く放ったらかしにしているくらいだ。掃除やその他のメンテナンスも必要に応じて人を雇っているから、荒れ果てて埃まみれになっているところは見たことがないけれど。あの足の踏み場のない僕の部屋も、一応手入れはしてもらっているらしい。多分、掃除界の匠が呼ばれているのだろう。顔を見たことすらないけれど。
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