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    八橋

    42_uj

    MEMOのばまき。
    のばらちゃんの爪にマニキュアを塗るまきさん。
    読みたいものを書きました。八十八橋後、渋谷前。
    ※虎伏におわせっぽいのがちょっとあります。

    (2021年5月23日)
    ほんとうの敵について あっいかん。これは盛大に投げられた、畜生。畜生っていうのはじぶんへの悪態で、パンダ先輩の悪口じゃないですからね。地面が遠くなって空がちょっと近づく。でもあわてない。怖くない。オーケー。なんなら空の朱色が綺麗。夕焼け。「おーやってるねえ」って真希さんの笑い声がきこえる。きこえるくらい私は冷静だ。滞空の高さがピークを超える。よし、正しく落ちるだけ。これくらいの高さなら呪力でかためる必要もない。前傾の姿勢をつくって衝撃を想像する。そのあとも戦いは続くってこと忘れちゃいけない。最初につま先が地面に触れるけど、そこで着地を脚に任せるのは間違い。体重が膝に乗る前に、用意していた上半身を丸めたまま倒す。落下の衝撃を回転に変えるのだ。両手のひらで地面を受けたら、斜めに前転。右腕、それから背中、左腿でひとつづきに地面をなぞるように転がる。うん、肘も肩も腰もちゃんと庇えた。回りきったらすぐに体を起こす。膝もぜんぜん平気だ。立ち上がりきる前に地面を蹴って、完璧うまい具合にスピードをのせれた。パンダ先輩の巨体に突っ込むみたいに走っていく。けど「よし、今日はここまでだな」と先輩が言うので急ブレーキ。「えっ、もうかよ」。つい気の抜けた声が出た。時計を仰ぐと確かに決められた時間が過ぎたところだった。私は汗まみれだしジャージも砂だらけだけど、でもまだまだやれるって気がする。
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