嫌煙
さなか
REHABILI何となく書いた石乙。書いた本人が嫌煙家なので、おかしなところがあるかもしらん。
石乙散文 ふぅと息を吐き出せば、紫煙が外にふわりと舞った。指先にじりじりと感じる熱にそろそろ潮時かと思って、吸い殻をケースに捻じ込んだ。
「……あの」
するとそのタイミングを見計らったかのようにそう声を掛けられ、窓の桟に腰掛けていた石流は「あん?」と言って顔を向けた。声を掛けてきたのは、この部屋の主である乙骨だ。
「…石流さんの吸ってるタバコって最後に甘いんですよね?」
そういやそんな話を前にしたなと思ったから「そうだな」と頷けば、乙骨がこてりと首を傾げてくる。
「…じゃあ、今キスをしたら、甘いんですか?」
「は?」
何を言い出すんだと思ったが、乙骨は純粋に気になるようで「どうなんですか?」と言ってくる。石流は眉を寄せて「どうだろうな」と返した。
951「……あの」
するとそのタイミングを見計らったかのようにそう声を掛けられ、窓の桟に腰掛けていた石流は「あん?」と言って顔を向けた。声を掛けてきたのは、この部屋の主である乙骨だ。
「…石流さんの吸ってるタバコって最後に甘いんですよね?」
そういやそんな話を前にしたなと思ったから「そうだな」と頷けば、乙骨がこてりと首を傾げてくる。
「…じゃあ、今キスをしたら、甘いんですか?」
「は?」
何を言い出すんだと思ったが、乙骨は純粋に気になるようで「どうなんですか?」と言ってくる。石流は眉を寄せて「どうだろうな」と返した。
na2me84
DOODLE #毎月25日はK暁デー参加させていただきました。お題は『匂い』
厭世的で嫌煙家の暁人くんのお話。
sensory adaptation 雨の夜が明け家族とも一夜の相棒とも別れて、僕は日常に戻ってきた。妹を取り戻すことは出来なかったから、今までと全く同じという訳にはいかないだろうけれど、とにかく僕は一人生き残ったわけだ。それに意味があるかはまだ分からない。それでも、とりあえず僕がやらなければいけない事がまだ残っている。向こうで両親と共に旅立つのを見送った妹の現世での抜け殻に病院で対面し、身体も両親の元へと送り出した。その日は青空にふわりと薄い雲が浮かぶ、良く晴れた日だった。この世のしがらみを全て捨てて軽くなった妹は、きっと両親と共に穏やかに笑っているだろう。そうであって欲しい。
追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。
5680追われるように過ごした日々が終わってふと気が付くと、これからどう生きていけばいいのかすら何も考えつかなくて、自分が空っぽになったように感じた。ほとんど物の無い空虚な部屋を見回して、置きっぱなしになっていたパスケースに目が止まる。すっかり忘れていた。あの夜の相棒の形見、最期に託された家族への伝言。これを片付けなくては。彼とは出会いから最悪で途中も色々あったが、最終的にはその関係は悪くなかったと思う。結局のところ、僕にとっても彼にとっても失うものばかりで、得るものの少ない結果だったとしても。