斜視
808koshiya
DOODLE斜視おじが「お前さん目離せねぇなぁ」的なセリフをA氏に言う話意識が覚醒するのにあわせて目を開ける。身を置いている座席は細かく揺れながらも全体としては安定している。厳重に身を固定している安全帯は自由を奪われているとも感じられた。
「お目覚めですか」
地上を進む乗り物とは異なる浮遊感覚は現在の所在地が重力から切り離されていることを直感させた。話しかけられてアルフレッドはのろりと声の方を向いた。
「手荒なご案内となったことをお詫びいたします。我があるじが貴方様との面談をご希望されておりまして」
老成を帯びた男の平坦な声は操縦席にあたる前方から届けられた。操縦席を含めても数席の小型の航空機だ、と認識する。
「……はぁ」
アルフレッドはきょろきょろと琥珀色の目を動かした。窓の外は白く煙っているが、その中でも風に煽られて舞う雪の粒が視認できた。ずいぶんな悪天候と視界不良の中で平然と、それでいて安定を保ちながら飛行機を飛ばしている、ということはこの老人? は只者ではないのだろう。
5121「お目覚めですか」
地上を進む乗り物とは異なる浮遊感覚は現在の所在地が重力から切り離されていることを直感させた。話しかけられてアルフレッドはのろりと声の方を向いた。
「手荒なご案内となったことをお詫びいたします。我があるじが貴方様との面談をご希望されておりまして」
老成を帯びた男の平坦な声は操縦席にあたる前方から届けられた。操縦席を含めても数席の小型の航空機だ、と認識する。
「……はぁ」
アルフレッドはきょろきょろと琥珀色の目を動かした。窓の外は白く煙っているが、その中でも風に煽られて舞う雪の粒が視認できた。ずいぶんな悪天候と視界不良の中で平然と、それでいて安定を保ちながら飛行機を飛ばしている、ということはこの老人? は只者ではないのだろう。