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    昆布

    キツキトウ

    DONE2024/1/12
    「朝に炊き立てのご飯を食べる」

     布団に潜り、考えていたら何時の間にか眠りについていた。今が何時かも知らないままぼぅとしていたら、身体の底から生きる音が聞こえてきて。
     だから久しぶりにご飯を炊いてみた。そしておかずには昆布の佃煮と卵を選んだ。……明日は塩鮭を焼いてみようかな?

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    小説SS。
    「朝に炊き立てのご飯を食べる」.
    .
     こつん――、こつん――、こつん。

     背後から、小さく乾いた音がする。
     ハッとして振り向くと、月だけが照らす暗い空から何かが落ちてくる。それはきらきらと光る何かで――。
     辺りが暗いのに、それがきらりと光るから。だからそれを見つける事が出来た。

     身を屈め、真黒な地面に点々と転がる粒を一つ摘まんでみた。それに温度はなく、けれど白く淡く光る粒は月の光にも等しく思えた。鉱物のように煌めき続けている。

    「……ああ、月から落ちてきているんだ。月が涙を流してる」

     自嘲で駆けていく息が白い。月の舟の下で、また一粒音がした。

     前に向きなおりそして俯く。濡れた瞳に溜まった粒がまた一つ落下してはさよならをしていく。
     足元の水面から離れると、雲間を照らした粒を握ってそっと橋から離れた。
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