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    普通

    CHIKO_OO_sun

    CAN’T MAKE自分の癖(ヘキ)を煮詰めた両片想い趙イチです。
    趙イチワンドロワンライに参加したくて書いたのに、1時間なんて普通にムリでした!!
    ほぼワンウィークライティングになってしまったので参加資格はないのかもしれない。
    2025.04.26 趙イチワンライ お題「花」春日一番は、趙天佑に贈った花をよく覚えていた。パンジー、バラ、盆栽、百合。いずれも異人町のあちこちにあるプランターで育てたもので、誰かに贈ることを前提に花を世話していたわけではなかったが、趙にだけは、選ぶときに何かしらの理由が要るような気がしていた。渡す瞬間は努めて自然を装うのに、受け取ったときの趙の表情や笑い方が、気になって仕方がなかった。

    最初に渡したのはパンジーだった。咲きはじめたばかりの小ぶりな花をいくつか束ね、新聞紙にくるんで持っていった。趙は花を覗き込んでから、「綺麗な花じゃないの」と笑って受け取った。

    バラは、鮮やかな赤だった。花弁は柔らかく、茎には鋭い棘があった。育てるのに手がかかったぶん、咲いたときの印象は強く、誰かに渡すならこれだと思った。「喜んでくれるといいんだが」と言いながら差し出すと、趙は目を丸くしてから笑い、「こういうの、もらったの初めてかも」とつぶやいた。
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