部活対抗ハロウィン仮装リレー文化祭の目玉として、部活対抗ハロウィン仮装リレーがある。野球部からは俺が出ることになった。生徒会の用意したギンギラギンの箱から仮装テーマの札を引く。金色の紙に悪魔とカボチャのデコレーションがされた派手なカードを裏返す。悪魔か？ミイラか？ドラキュラか？期待してめくった札の裏にはたった一文字「栗」と書いてあった。
「栗！なんで栗なの？せめて桃にすればいいのに」
「地味ハロウィンらしい」
「地味っていうかトンチキじゃない？」
部屋で栗の話をすると、綾瀬川が仰け反るほどに大笑いした。うるせえ。笑いたいんは俺の方じゃ。
「なんで桃やねん？」
「桃栗三年柿八年っていうから、桃と栗って仲間じゃん。せっかく桃の名前なんだから、桃にしなよ。それか桃太郎」

最近の我が家は栗大豊作ゆえ、必然的にお茶請けが栗である。それを人から指摘されたので「秋だしな、小腹満たしと脳の活性化に手頃なのだよ」と半ばやけになって返したのがつい先日。気づくと検事局じゅうで栗がはやっていた。我が家の生産元は相変わらず大張り切りで踊りまくっている。やれやれ。

昨日の余りの栗を茹でてやったら、UMA達は大喜びで剥いてない栗をドールハウスの中に持っていった。あの小さい体で剥けるんだろうか、と部屋の中を覗いたら、栗を囲んで踊っている。こいつらよく踊るなと思いながら眺めていたら突然栗が割れて中から芽？が出てきた。慌てて御剣検事を呼びに行った。