Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    烏丸

    youtakeA

    DONE【刀剣乱舞】
    ※創作審神者
    顕現順にうちの審神者と刀剣男士の初対面を書くよのシリーズ

    #うちの審神者と初対面 〈小烏丸〉
    「我が名は小烏丸。外敵と戦うことが我が運命。千年たっても、それは変わらぬ」
     たとえば、晩春の山を藪を漕ぎながら登っていると不意に空気の変わることがある。「ここから先は人の踏み入る場所でない」という警告を全身に受ける。たった今自分が進めた一歩で景色のどこが変わったわけではない。足元に降り積む土になりかけの朽葉、腿の半ばまで届く数多の草々、高いところで太陽の日を透かす枝葉の緑。すべて、なにひとつ変わってはいない。
     しかし、そんなとき私は確かに山のなにか侵犯しているのだ。だから即座に、かつ息をひそめて振り返り、来た路を戻る。山で育つ私たちは、その見極めを子供の時分から少しずつ覚えて育つ。
     顕れた男士は、その頭頂が私の目線より低い位置にある。なのに私の心は、見下ろしているはずの男士をはるか仰ぎ見ている。里から山の頂を見上げ、日常であるはずのその風景に突如畏怖をあらたにする、あの心地。あの山路をもし警告に抗ってさらに進んでいたなら、そこで出会うのはあるいはこのような存在だったのかもしれない。
    1379

    ume1039835

    DONE烏丸×九条
    恋人になってからの日常妄想SS。
    作品ほぼなくて泣いた…。同志の人に届いたら嬉しいです。
    犬も食わぬ イソ弁でお世話になって、自分を大切にしない先生のやり方が見てられなくて袂を分かち、そんな自分に弁護士を依頼したあの人をどうしても救いたくて独立までした。それから秘めた想いを告白して、渋る先生に脳みそをフル回転させながらひとつひとつ断る選択肢を論破していったのだが、最終的にはストレートに好きだと、そう伝え続けるのが先生の弱いところを擽ったらしい。
     晴れて恋人になった今、困りごとが増えてしまった。先生が可愛くて仕方がない、それに自分の嫉妬深さにも驚いている。もともと先生は職業柄もあるけれど常に冷静で、心情を顔に出すことも滅多にない人だ。

    「九条先生、隣いいですか?」
    「はい、どうぞ」
     九条先生がテントを張って生活している屋上で、座ってブラサンに手遊びしている先生の隣へと、スーツが汚れるのも気にせずに両膝を立てて座りこんだ。膝が触れあう近さに九条先生はなにか言いたげな視線を…そっと逸らした。以前ならば適切な距離というものはもちろんあったが恋人になった関係性で、普段は多忙で恋人らしい時間を持つのすら難しいときたらここぞといったタイミングを逃すつもりはない。
    1311