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    蚊取り線香

    🟣文庫

    ArtSummary2022⚠友人に書きました⚔hsbの夢です。
    ご理解ある方のみお進みください!


    カラーパレット
    肌着 蚊取り線香 深爪
    深爪いつからだろうか。


    「あら、素敵な藤の香りですね」

     どこの香水使われているんですか、とにこやかに店員さんが聞いてくる。いい香りがするのならそれは嬉しいことだが、何が問題かというと、私は今香水をつけていないのだ。そして、私にはそこまで香らない。ここ半年ぐらいにかけて、こうやって香りを指摘されることが増えた。
    なんとなく、要因はわかる。





    「ただいま~」
    「おかえりなさい、主」
    「あ、粟田口たちが言ってた期間限定のコンビニアイス買ってきたよ」
    「覚えていらっしゃったんですね、お優しい。すぐに粟田口部屋に届けて参ります」

     リビングからひょこっと顔を出してにこやかに廊下を駆けてきたのは、うちの近侍のへし切長谷部だ。一般男性よりも少しだけ大きいその体格に、生徒指導でもし出すかのような体育教師を彷彿とさせるジャージを着て、子供のように晴れやかに笑って玄関まで早足で駆けてくるのは少し微笑ましい。目に見えた贔屓こそはしていないが、私は長谷部がとんでもなく大好きだ。他の本丸に目を向けるとだいぶフリーダムな本丸もあったりするが、一応審神者業も仕事であるため刀たちへの接し方は偏りが無いように意識はしている。漏れ出る愛はどうしようもないため、たまに愛を伝えすぎるが(特に短刀たち)それでも特段強い想いを抱く長谷部には、他の刀にも気づかれないように意識して接してきたのだ。
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