谷崎潤一郎
ぎょこう
SPOILER微笑みの碧眼(継続版)のネタバレを含むNPC小説③です。読まれる場合はKP、PLともにプレイ後を推奨しております。
pass:碧眼のあの言葉
温かな憧憬の続き。シナリオ作成後に書いていた小説を加筆したものです。
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●作中用語解説
ナオミ:谷崎潤一郎『痴人の愛』の登場人物。史実は大正末作品です。 6203
ohmita
PROGRESSまだ書き終わってネ~~~けど丁度いいとこまで書けたので尾鯉の日だから出します。谷崎潤一郎『人魚の嘆き』パロのなんちゃって中華風尾鯉。尾形が貴公子でおとのちんが人魚です。鶴見中尉とヴァシリちゃんもちょこっと出てくる。全部かけたらピクシブにあげます。
人魚の嘆き「一つ箱が多いようだが。」
紳士の穏やかな問いに、金の玉座へ身を凭せかけた若者は物憂げに答えました。
「一つ増えても二つ増えても、あって困るものではないでしょう。どうぞ持って行ってください。――――まったく、恐ろしい程に上手くいった。」
若者はいくらか酔った様子でありましたが、両の目だけはまるで獣のように爛々として紳士を見据えておりました。ところが紳士は、若者の眼差しを受けて畏れるどころか、子でもあやすように微笑みます。
「私はきっかけを与えただけに過ぎないよ。君が思っている以上に、君の御父上は恨まれていたし弟君よりも君こそが当主に相応しいと思う者が多かった。それだけのことだ。」
白々しい言葉を嘲り若者は唇を歪めて笑いました。若者の父は、そのまた父から受け継いだ武功を更に重ね、時の皇帝の覚えもめでたく、最早他人は羨むのを諦めるほどの巨万の富を拵えました。また若者の弟は父に倣い武を磨き学にも秀で、正妻の息子として大変立派な人でありました。
23122紳士の穏やかな問いに、金の玉座へ身を凭せかけた若者は物憂げに答えました。
「一つ増えても二つ増えても、あって困るものではないでしょう。どうぞ持って行ってください。――――まったく、恐ろしい程に上手くいった。」
若者はいくらか酔った様子でありましたが、両の目だけはまるで獣のように爛々として紳士を見据えておりました。ところが紳士は、若者の眼差しを受けて畏れるどころか、子でもあやすように微笑みます。
「私はきっかけを与えただけに過ぎないよ。君が思っている以上に、君の御父上は恨まれていたし弟君よりも君こそが当主に相応しいと思う者が多かった。それだけのことだ。」
白々しい言葉を嘲り若者は唇を歪めて笑いました。若者の父は、そのまた父から受け継いだ武功を更に重ね、時の皇帝の覚えもめでたく、最早他人は羨むのを諦めるほどの巨万の富を拵えました。また若者の弟は父に倣い武を磨き学にも秀で、正妻の息子として大変立派な人でありました。
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DOODLE谷崎潤一郎の「刺青」のパロディ。狂児が聡実くんを麻酔で寝かせて勝手に刺青彫る話なので注意です。
完全に換骨奪胎だし、ほとんど表現は借用ですのでそのつもりでお読みください。
谷崎の「刺青」未読の方が、これをきっかけに読んでみようかなと思っていただけるとうれしいです。というか、そっちを是非読んでください。青空文庫で読めます。 9