『君たちの幸せは、悲しいね。』あたいが、おまえらと相容れないように。
おまえらの幸せは、
全てを諦めることでしか手に入らない。

それでも時間の許す限り、
身を寄り添わせて、
顔を赤くして、
互いを探り合いながら、
おぼえたての愛のことばを囁き合うんだね。

…助けてやりたいなんて思わないけどさ。
ままならないものだね。

こんなよくある話ならこの後の展開は彼の勝ち　蝶や花よとまではいかずとも、それなりに守られて育てられてきたお坊ちゃんお嬢ちゃん。
　後、数年して成人すれば学園を卒業し、本格的に家を継ぐ為の仕事だの、幼い頃に決められた許嫁の元に嫁ぐだの、今ほどの自由は無くなるのは肌で感じている。
　だから今。
　青春真っ只中の今、友人達と少しの冒険をしてみる。
　大人には内緒の秘密の思い出になるはずだから。

　——という事で、バーソロミューは仮面舞踏会に参加していた。
　ことわっておくが、バーソロミューは今年で30歳だ。
　少年という年代ではなく、大人に秘密の思い出はもう溢れるほど持っている。どちらかと言えばそれは青春の一ページというより、知られれば厳重注意ではすまないかもしれないものだ。

あの人に持病の事やら何やらバレてしまった
それ以来えらい過保護っぷりで
身体を冷やすなってうるさいし　ご飯山盛りにされるし　あんたは僕の母親か？

いやいや僕が食べてどうすんだよ　あなたが食べてるのを眺めていたいんだってば

なんかいい雰囲気になっても興奮すると身体に良くないとか言われるし何この生殺し！

過剰に病人扱いされるのも癪なので　説得を試みようと思う



——お話があります

なんだ改まって

僕を心配してくれるのは嬉しいけど病人扱いしすぎだよ
仕事だって普通に行ってるし　普段通りに接してほしい

気を悪くしたならすまない　どうにも心配で

あと恋人から不能扱いされるのが一番キツいです　僕じゃ満足させられないと思ってらっしゃる？