飛行船
verderven
DONEモクチェズ版ワンドロワンライ5/22「飛行船」一気読み用。
5/22飛行船――皆様、本日は『ヴィンウェイエアライン』にご搭乗いただき、ありがとうございます。当機はただいまウィンウェイ王国上空を飛行中です。到着時刻は――……
「――あ、こら! イヴァン、戻りなさい!」
ほんの一瞬目を離したすきに、息子が私の手を抜けて走り出して行ってしまった。騒ぎながら走り去るイヴァンを止めようと駆け出すが、お腹に宿した命を揺らさないように気をつけていてはとても子供の体力に追いつけない。
「どなたか! すみません、どなたか私の子供を止めてください……! っ、」
「ほい、つーかまえた」
私の横を風が通り過ぎたと思ったら、目にも止まらない素早さで前を走るイヴァンの腕が捕まる。子供を止めてくれたのは、小柄だけど体格の良い男だった。振り返った顔は見慣れない造りをしていて、おそらく東洋のほうの出身じゃないかと思う。優しげに下がった目尻がよりにっこりと下がり、私へと声をかけてくれた。
4861「――あ、こら! イヴァン、戻りなさい!」
ほんの一瞬目を離したすきに、息子が私の手を抜けて走り出して行ってしまった。騒ぎながら走り去るイヴァンを止めようと駆け出すが、お腹に宿した命を揺らさないように気をつけていてはとても子供の体力に追いつけない。
「どなたか! すみません、どなたか私の子供を止めてください……! っ、」
「ほい、つーかまえた」
私の横を風が通り過ぎたと思ったら、目にも止まらない素早さで前を走るイヴァンの腕が捕まる。子供を止めてくれたのは、小柄だけど体格の良い男だった。振り返った顔は見慣れない造りをしていて、おそらく東洋のほうの出身じゃないかと思う。優しげに下がった目尻がよりにっこりと下がり、私へと声をかけてくれた。