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    黒姉

    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師if 伏黒視点 
    例年別々に過ごすイブを、珍しく伏黒姉弟と一緒にケーキ作りをする夏五のお話
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆三◆ スカイブルー「それじゃ、僕と一緒に恵たちとケーキ作ろうぜ」
     故あって保護者の真似事のようなことをしている姉妹が私にはいて、毎年クリスマスには彼女たちと一緒にケーキを作ってささやかなクリスマス会をし、サンタクロースの真似事をしていた。それが今年は、
    「私たちだけで作ったケーキを夏油様に食べて貰いたいから準備ができるまで他所のお家で遊んできて」
     と言われてしまった。成長が喜ばしくもあり、寂しくもあり、ならば非常勤として働いている高専で事務仕事を片付けようと思っていた所に、悟に声を掛けられた。
     彼にも保護者と言うより後見人として面倒を見ている姉弟がいる。こちらはクリスマスに一緒にいても鋭い目つきで邪険にされるそうだが、それは表面上だけで、それなりに楽しんでくれているみたいだから、と毎年ケーキやらプレゼントやらを携えていそいそと出掛けていく。紆余曲折があった上でクリスマスは一緒に過ごしたい間柄になったにも関わらず、優先すべき相手がいることに互いに不満を言うことはない。私はそんな悟だからこそ大切だし、悟だって私のことは承知している。それでも世の浮かれたカップルを見れば羨ましくなるのは当然で、イブじゃなくてクリスマスに一緒に過ごすようになった。
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    さつき

    DONE硝子お姉さんと津美紀ちゃんと手荒れのお話。硝子さんは伏黒姉弟と交流があるという幻覚。最終的には悟硝とつみめぐのお話にしたいと思ってます。
    玉手 ひどく複雑で、数奇で、皮肉な縁あって、年齢が2桁にも満たない幼い姉弟と五条と私と、誰1人として血縁のない4人で家族の真似事のような時間を時折過ごしている。

     その姉弟のうちの姉の方、津美紀とともに、炊事の後片付けを終えて、冬の足音が聞こえ始めた頃に五条が持ち込んだ円形の炬燵に2人並んで足を滑り込ませて腰を落ち着ける。
     少女が宿題の準備をする傍ら、手近にあった鞄の中から細長いチューブ型のハンドクリームを取り出す。キャップをくるくると回し外して、手の甲にチューブを軽く当てて中身を押し出し、再度キャップをくるくると回し嵌めて天板に置く。左右の手の甲を擦り合わせると、ふわりと、甘すぎない程度に花の香りが広がる。ルーティンと化した淀みない一連の動作で、掌と指先にもハンドクリームを伸ばして、水仕事後の手を保護しながら労った。そして、ハンドクリームを鞄に戻そうと手を伸ばそうとしたところで、ふと、左手側から視線を感じて、その視線の主に目を向ける。少女は宿題のドリルとペンケースを広げる手を止めて、興味ありげにハンドクリームと、それに触れようとする私の指先を、やや前のめりになって小さな唇を少し開けたまま見つめていた。その視線の意味を思案し、もしかしたら、少女が置かれている境遇を考慮するとハンドクリームを塗るという行為が未知なのかもしれない、と瞬時に思い至った。
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