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    5月

    mith3308

    DONE2024年5月5日SUPER COMIC CITY 31に発行予定の
    ファウ晶♂の新刊サンプルです。一章を公開しています!
    親愛と恋慕で葛藤する晶くんと、それを知っていて遠ざけるファウストの話です。
    たくさんすれ違いさせたいです。ハッピーエンドです。
    魔法使いたちを書くの楽しいんですが読める代物が書けているのか心配ですが…
    覗いてくださっただけで嬉しいです!楽しんでいただけるように頑張ります。
    Night and Day. 真っ青な大空が地の果てまで続いている。遥か遠くにある荒々しい岩肌を持つ山々が、大空に喰らいつくように、剣を天に衝き立てたような稜線を重ねていた。昼を過ぎて傾いた太陽の光が、雄麗な山脈を白く光らせている。尾根を境目に、影絵のように片方の面が、黒く塗りつぶされていて、稜線を重ねたいくつもの山が、一枚の黒い大きな岩のようにも見えた。
     晶は、雄大な景色を見渡しながら、この山の一部になるような気持ちで、大きく息を吸った。草の香りを多く含んだ空気は瑞々しく、身体が満たされていく。あまり、元の世界では身近になかった空気だった。
    「賢者!」
     澄んだ空気を、楽しげな声が伝ってくる。
     晶は、山脈から視線を外して振り返った。短い草が生えた急な斜面を、運搬用のそりに乗って、ものすごいスピードで滑り降りているシノが、手を振っている。
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    こえ🏔

    PROGRESSエヴァとチレッタ
    5月に出す本の冒頭部分(仮)です
    Queen of Solitude 一面の銀世界、そう言えば美しい。だが北の国の自然は、万物に牙を剝く獣のごとく凶暴であった。
     真っ白な雪が、一年のほとんどを通して大地を覆い尽くしている。この国は、春と秋を知らない。雪の下に眠っていた青い草が、わずかに太陽の光を見る短い夏が終われば、すぐにまた冬が襲ってくる。分厚い雲が垂れ込めて空が白く煙り、冷たい風が吹き荒ぶと、人々はふたたび永遠のように長い冬が訪れたことを知る。はらはらと舞っていた雪は、いつの間にか勢いを増し、際限なく大地に降り積もる。草も花も、山も村も等しく白に覆い隠され、しずかに冷たい凍雪のなかへ埋もれていく。
     ただ、北の国の雪は深々と降り積もるだけではない。次第に威力を増していく強い風に雪が乗り、吹雪となって一帯を襲う。吹雪は、この国でもっとも恐れられているもののひとつだ。それなのに、北の国では一年のうちで吹雪の日がもっとも多い。すでに堆く雪が積もった真っ白で冷たい大地に、激しく氷の粒が吹きつけるさまは、暴力的と形容するに相応しい。風の音は、まるで猛獣の咆哮のようだ。吹雪は、あらゆるものの命を奪っていく。人間にも、魔法使いにも、等しく猛威を振るうのだ。そんな国で、人がひとりで生きていくことはできない。魔法使いの庇護のもと、彼らの機嫌ひとつで命が失われる恐怖に怯えながら、ひっそりと暮らさなければならない。
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