時計と何故か模造刀もあった話拝啓　草衣薫 様
立春とは名ばかりの厳しい寒さが続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。
草衣さんがまた無茶をしているのではと少々心配です。怪我をしたらちゃんと治療してくださいね。
あまり長いお手紙は好まれないと思いましたので簡素ですが今回筆を執った理由を記載させていただきます。
お誕生日おめでとうございます。
以前2月1日がお誕生日と聞いていたのでささやかですがプレゼントを用意させていただきました。中身は開けてから…と言いたいですがお伝えします。ただの時計です。不要でしたら売却するなりしていただければと思います。
梅の薫る季節です。お体を大切に、元気に春をお迎えください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

百二十点満点！「ねぇ、好きだよ。俺と付き合ってほしい。」
　そう言い放ったフェイスとおれの距離は、少し動けば互いの唇が触れてしまうのではないかと思うほどに近かった。世の女性に見られたら、それは羨ましがられるであろうこのシチュエーション。
「…十点」
　そんな状況の中、おれの口から放たれた言葉は、この場には余りにも似合わないそんなセリフだった。


　そもそも、何故こんな状況になってしまったのか？その説明が必要であろう。あの日は、本当に何ともない、いつも通りの一日になるはずだった。朝には、なかなか起きてこないフェイスのことを叩き起こし、欠伸なんてこぼしている、やる気のないそいつをパトロールへと引っ張って行った。昼には、フェイスと共にダイナーで食事をし、パトロールの帰りには、今夜観る映画を探すべく、先日帰路で見つけたレンタルショップへと立ち寄った。そう。そこまでは、本当にいつもと何ら変わりない一日だった。