新美南吉
kohiruno
TRAININGここ数日拝見した橙×日本文学に心揺さぶられたので、昭和初期の童話風に書いた、幼い勇者とその金色の友達の出会いと別れ。冒頭だけ新美南吉リスペクトした昭和の童話の文体パロディです。勢いで書いたので、何でも許せる方向け。
※原作ネタバレがあります。
金のしずく これは、私が小さいときに、城の大魔道士のおじいさんから聞いたお話です。
この国のちかくの海岸から船を出した、ずっとずっと南にいったところに魔物たちがすむ、小さな島があります。
むかし、ふしぎなしずくが空からその島にこぼれ落ちました。それは水でも石でもない、誰も見たことがない形のないすがたをしておりました。
それを草のしげみのなかから、はじめてみつけたのは、小さな男の子でした。
「ぼくと、ともだちになってよ」
その日から、ふしぎなしずくはぴかぴかと金いろにかがやき、体はやわらかなおもちのようなめずらしい金属となり、男の子と一緒にどこにでも行けるよううつくしい翼がはえました。
朝に夕に、しずくはぴぃぴぃと鳴き、男の子と野や山をあちらこちらと飛び回ります。
1089この国のちかくの海岸から船を出した、ずっとずっと南にいったところに魔物たちがすむ、小さな島があります。
むかし、ふしぎなしずくが空からその島にこぼれ落ちました。それは水でも石でもない、誰も見たことがない形のないすがたをしておりました。
それを草のしげみのなかから、はじめてみつけたのは、小さな男の子でした。
「ぼくと、ともだちになってよ」
その日から、ふしぎなしずくはぴかぴかと金いろにかがやき、体はやわらかなおもちのようなめずらしい金属となり、男の子と一緒にどこにでも行けるよううつくしい翼がはえました。
朝に夕に、しずくはぴぃぴぃと鳴き、男の子と野や山をあちらこちらと飛び回ります。