旅第74回LH1dr1wr「遅刻」
2024.2.4
90分くらいかかりました。
*死を扱っています。ご注意ください。
『旅』
剣を置いて道端の岩に腰掛けたラーハルトは、遠くの一本道から旅装束のヒュンケルが歩いてくるのをみた。手には道具袋と魔槍を携えている。
「遅かったな。ようやく合流か」
「だいぶ待たせてしまったな」
ヒュンケルはあたりを見回しながら、ラーハルトの前にやってきた。空一面晴れ渡り、花が咲く草原のそこかしこには、瑠璃色の岩が点在している。人々が佇むなり、座るなりをしてそれぞれ誰かを待っているようだ。
「待ち合わせの名所か。それにしても、腹が減った。色々持たせてもらったのはこういうことか」
ヒュンケルも岩に腰を下ろし、道具袋から出したパンを半分に割って、ラーハルトに差し出す。二人で食べて、水も交互に飲んだ。うっかりと革袋の中身をこぼすヒュンケルをみて、ラーハルトは銀の髪を無造作に撫でた。
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