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    赤夜

    はるち

    DOODLE出会いと別れを繰り返す二人が性癖です
    黒鳥はかなしからずや夕の赤夜の黒にも染まずただよふ
    左様ならば、また逢いましょうあれ。
    こんなところで珍しいね。
    もちろん、君のことなら知っている。商人で有名なリー家の、ええと――
    ……そう言われるのは好きじゃない?
    ふふ。
    そうだろうね。
    私?私はただの通りすがりだよ。
    君はどこまで?……そう、あの十字路まで。せっかくだから一緒に行こうか。
    しかし、十字路、ねえ。
    ああいや、大した意味はないよ。十字路は何故、国が変わっても縁起が良くないのかと思ってね。
    過去と未来が交わるとか、この世とあの世が交わるとか。そんな謂れが多くてね。ほら、罰として罪人の死体を埋めたりするだろう?しない?ふうん。
    そうだ、こんな話を聞いたことはあるかな。
    未練のある魂は、死後に十字路に行くんだ。自分が来た道を除くと、目の前には三本に分かれた道がある。そのそれぞれが過去に、未来に、現世にと続いている。そうして選んだ道の先で、幽霊になって化けて出るのさ。いや全く、輪廻転生を是とする炎国らしい話だと思わないか?死後の審判、天国か地獄に行き先が分かれるラテラーノ教とは異なる死生観だよね。まあ、だからこそ死後どこにも行けない魂が永遠に彷徨い続けるという罰が成立するわけだけど――
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