ラッコ
TRAININGクトゥルフ神話TRPG「閉じた家」
導入部分
調査員
・稲荷田狐
・藤堂和真
閉じた家 はいはい、僕しかいませんよー。
葛ノ葉探偵事務所の固定電話が鳴る。事務所で一人待機していた狐は、心の中で軽口を叩きながらデスクの電話を取った。
「お電話ありがとうございます。葛ノ葉探偵事務所、稲荷田です」
大学時代から手伝いをしてきた賜物か、舌の上に乗った言葉が滑らかに出る。
「あの…」
電話の主は小さな女の子だった。探偵業に就いて初めて知ったのだが、未成年からの依頼は珍しいものではない。多くの場合はイジメの証拠集め、友人の人間関係の調査だ。その場合は保護者を依頼人に変更してもらい、引き受ける場合がほとんどだった。
恥ずかしそうな、躊躇うような第一声は緊張のせいだろう。探偵事務所に電話をかけてくる人間は、多くの場合不安で緊張している。この女の子も例に漏れずそうだろうと狐は思った。
1735葛ノ葉探偵事務所の固定電話が鳴る。事務所で一人待機していた狐は、心の中で軽口を叩きながらデスクの電話を取った。
「お電話ありがとうございます。葛ノ葉探偵事務所、稲荷田です」
大学時代から手伝いをしてきた賜物か、舌の上に乗った言葉が滑らかに出る。
「あの…」
電話の主は小さな女の子だった。探偵業に就いて初めて知ったのだが、未成年からの依頼は珍しいものではない。多くの場合はイジメの証拠集め、友人の人間関係の調査だ。その場合は保護者を依頼人に変更してもらい、引き受ける場合がほとんどだった。
恥ずかしそうな、躊躇うような第一声は緊張のせいだろう。探偵事務所に電話をかけてくる人間は、多くの場合不安で緊張している。この女の子も例に漏れずそうだろうと狐は思った。
Hirokun_trpg
DOODLE新世界よりの自陣落書き、ほぼ自キャラです()ネタバレを含むかもしれないので注意。
落書きのため雑絵…どうしても描きたくなっちゃったんだ((
ギャグとシリアスが入り乱れている…() 5
ラッコ
TRAININGクトゥルフ神話TRPG「壁から海老フライが生えているんだが」
導入部分
海老フライをご注文のお客様
・稲荷田狐
・霞ヶ丘煌平
壁から海老フライが生えているんだが この人はついに呪われたのだ。
依頼人である霞ヶ丘煌平の話を聞いて狐はそう思った。
2メートルはある巨体を丸めて話す様子は小人の国を訪れたガリバーのように見える。確か年齢は自分と同じ35歳のはずだ。大の大人から相談されるには、今聞いた話はあまりにも馬鹿げている。
「煌平さん、酔ってませんか?」
公園のベンチに並んで座っていた狐は、コーヒーの缶で煌平を指した。
そもそも煌平との出会いは行きずりのバーだった。そこで狐は早々に酔い潰れ、散々に嘔吐しながら煌平に絡んでいた記憶がある。後で店と煌平に弁償と謝罪をしようと店のある場所を探したが、誰に聞いても「そんな店は知らない」との事だった。
あの夜の馬鹿騒ぎが夢の中の出来事だったのだろうかと自分を疑ったが、煌平の名刺だけはしっかりと財布に残っていた。名刺を頼りにその住所を訪れると霞ヶ丘煌平はしっかりと存在し、古美術商を営んでいた。
1104依頼人である霞ヶ丘煌平の話を聞いて狐はそう思った。
2メートルはある巨体を丸めて話す様子は小人の国を訪れたガリバーのように見える。確か年齢は自分と同じ35歳のはずだ。大の大人から相談されるには、今聞いた話はあまりにも馬鹿げている。
「煌平さん、酔ってませんか?」
公園のベンチに並んで座っていた狐は、コーヒーの缶で煌平を指した。
そもそも煌平との出会いは行きずりのバーだった。そこで狐は早々に酔い潰れ、散々に嘔吐しながら煌平に絡んでいた記憶がある。後で店と煌平に弁償と謝罪をしようと店のある場所を探したが、誰に聞いても「そんな店は知らない」との事だった。
あの夜の馬鹿騒ぎが夢の中の出来事だったのだろうかと自分を疑ったが、煌平の名刺だけはしっかりと財布に残っていた。名刺を頼りにその住所を訪れると霞ヶ丘煌平はしっかりと存在し、古美術商を営んでいた。
しげる
DONE『 同居人 』▽本田 肇 / 有多さん
▼西園寺 結人 / しげる
素敵な立ち絵合わせをしていただきました!
うたさんいつもありがとう🙏
表情差分:たくさん
呆れた笑顔の似合う人でした。
お疲れ様でした。 2
ラッコ
TRAININGクトゥルフ神話TRPG「死にたがり電車」
(著 ごんずい)
導入のみ
乗客
・稲荷田狐
・嫻夜那
死にたがり電車 狐は駅のプラットホームで電車を待っていた。
素行調査の帰りが夕方の帰宅ラッシュの時間と重なってしまい、駅にはサラリーマンから学生までたくさんの人で混雑している。狐はこの景色が嫌いではなかった。たくさんの人間が存在しながらも、それぞれにスマホの世界に入り浸っていたり、イヤホンで音楽の世界に入り込んでしまっている。
足音だけが言葉のように響く。俯いて歩く人の姿はなぜか狐の心を慰めた。
すっと狐の視界に赤がよぎる。赤い髪色のロングヘアの女性だった。しかし髪色より人目を引くのはその容姿の美しさだろう。整った顔立ちと、意思の強さを感じさせる真一文字に結ばれた唇。この辺では滅多に見ないタイプの美人だった。しなやかな肢体は猫のように油断なく艶めかしいが、同時にこの駅には似つかわしいものではなかった。何よりそこだけ張り詰めたような迫力がある。
1877素行調査の帰りが夕方の帰宅ラッシュの時間と重なってしまい、駅にはサラリーマンから学生までたくさんの人で混雑している。狐はこの景色が嫌いではなかった。たくさんの人間が存在しながらも、それぞれにスマホの世界に入り浸っていたり、イヤホンで音楽の世界に入り込んでしまっている。
足音だけが言葉のように響く。俯いて歩く人の姿はなぜか狐の心を慰めた。
すっと狐の視界に赤がよぎる。赤い髪色のロングヘアの女性だった。しかし髪色より人目を引くのはその容姿の美しさだろう。整った顔立ちと、意思の強さを感じさせる真一文字に結ばれた唇。この辺では滅多に見ないタイプの美人だった。しなやかな肢体は猫のように油断なく艶めかしいが、同時にこの駅には似つかわしいものではなかった。何よりそこだけ張り詰めたような迫力がある。