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    6時半のラッコ

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    6時半のラッコ

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    クトゥルフ神話TRPG
    「じゃれ本・狐の不祥事」

    エンディング

    #TRPG小説
    #TRPG

    じゃれ本・狐の不祥事 で、結局、僕って前科ついたの?
     狐は事務所の喫煙所でメビウスをふかしながら考えていた。
     成行きで熊を退治して、成行きで何か凄い伝説のマタギに処理を任せて、運良く逃げ出したがやはり気になった。さすがにoso18を退治したとなればニュースになるかと思ったが、世間は一向に騒がしくならない。どうやら、あのマタギが上手くやってくれたらしい。
     さすが伝説のマタギ。…実はよく知らないけど。
     そういえば事の発端となった男も消えていた。あっちは正当防衛だと言い張れば何とかなりそうな気がしていたので、微塵も気にしていなかった。
    「稲荷田さん、煙草吸う時は窓開けてください」
    「すいません」
     同僚からの指摘で窓を開ける。相変わらず通行人の多い大通りを見下ろしていた狐は、見覚えのある女性を見つけ身を乗り出した。
     アニスさんだ!
     声をかけようか迷っていると、アニスはふらっと薄暗い路地に入ってしまった。足取りが若干覚束ないように見える。もしかしたら具合が悪いのかもしれない。
     もう少し様子を窺えないものかと窓から身を乗り出すと「せんせー、パンダ行こう」と強く背中を押された。慌てて窓枠に掴まり、前のめりになった体を支える。
    「ちよっと、ギャグ漫画じゃないんだから僕死んじゃう!あと喫煙所は入っちゃ駄目。それとパンダって何?」
     いつの間にか喫煙所に入ってきた子ども達を振り返る。ランドセルを背負ったままの子ども達は狐に一枚のチラシを突きつけた。まだ火をつけたばかりのメビウスを灰皿に押し付け、チラシを読み上げる。
    「一夜限りの神のパンダ、今夜お目見え?」
    「そう、せんせー行こう」
    「今日は駄目。今日の金曜ロードショーは魔女の宅急便だから」
     えぇ〜と子ども達が不満の声を上げる中、ブー、ブーと狐のスマホが震える。ごめんね、と子ども達に詫びた後、通知を確認した。
     新着メール1件。差出人、欅夜一。
     スマホを投げ捨ててやろうかと思ったが、子ども達の手前思い留まった。本文を開き、画面をスワイプする。
     今夜、ビュッフェパーティを開催します。よろしければいらしてください。
     狐の脳裏に魔女の宅急便の1場面が流れた。
    「…ねぇ、魔女の宅急便でパーティに何かパイ運んでたよね。何のパイだっけ?」
    「ニシンのパイ!」
    「私これ苦手なのよね」
    「せんせー、パイの宅急便するの?」
    「マジ?せんせー箒乗るの?」
     パタンと手帳型のスマホケースを閉じ、狐は喫煙所の隅に立てかけてあるデッキブラシを手に取る。なぜかわからないが、あの怪盗が清掃道具一式を探偵事務所に置いていったのだ。
    「コレで飛べたよね?」
     飛べるー!と子どもたちが一斉に声を上げる。
    「せんせーリボンつけてー」
    「黒いワンピース着て!」
    「ジジ、ジジ!」
     狐はふぅっと息を吐いた。
    「コスプレしても良いんだけどさ…」
     近くにいる同僚に苦笑いをする。
    「すみません。僕、迷惑防止条例違反で前科つきそうですか?」
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    6時半のラッコ

    SPOILERTRPG
    「レコードユアレポート」
    (ムーキセキ 著)
    TRPGの探索者ならどなたでも遊べるシナリオです

    記された名前
    ・稲荷田狐
    レコードユアレポート■タイプライターからの挨拶
    |ではあらためて。ワタシは記録とお喋りが好きなしがないタイプライターだが、しばしよろしくお願いするよ。|
    |あなたのことを記録させて欲しい。|

    狐「僕も似たようなモノだけどね。よろしくお願いしちゃおうかな」


    ■あなたの『名前』
    |最初の質問だ。|
    |まずはあなたの『名前』を教えてもらえるだろうか?|

    狐「稲荷田狐。変わった名前でしょう?同じ名前の方にお会いした事はまだ無いね」


    ■あなたの『世界』について
    |ここには様々な世界からやってくるようでね。これを記録しておかないと。|
    |あなたの言葉で『あなたの住む世界』がどんな場所なのか説明してくれるかい?|

    狐「ごく普通の生活の中に、非日常が舞い込んでくる世界だね。魔法であったり、怪物であったりと、一般常識では理解されないようなモノに遭遇するよ。…そうだなぁ、僕が一番最初に事件に巻き込まれた時は、自殺した方を運ぶ電車に詰め込まれたっけ。そういえばあの時の言葉って、僕にとって重要な約束に繋がるものになってるね…」
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