かがみのせなか
DONE二埋夏休み企画に参加させていただいた物です。仲良し3人組で水族館へ行きます。
X→https://x.com/MtkX4UJQZm96451?t=hzwknpkdK9q0ze7sVoFj8g&s=09
企画サイト→https://www.canva.com/design/DAGtA1XUiww/1DYOgKs3y3BSvcHKGwi16w/edit
幸せの棲み処 「アシカさん可愛かったモン!」
興奮が冷めない百目が、数歩前をピョンピョン跳ねながら歩いている。メフィスト二世が隣で苦笑いをしながら窘めた。
「おい、人にぶつかるぞ。」
「アシカさんは芸をたくさん覚えて賢いんだモン。」
「上手だったねぇ。」
「楽しかったモン!」
はしゃぐ百目に、真吾は水族館に来てよかったと微笑んだ。
きっかけはテレビだった。
嫌々夏休みの宿題を進めながら、気分転換に何処か遠出したいなと考えていた時だった。
お昼の素麺を食べながら観ていたテレビが、夏休みで賑わう行楽地を取り上げていて、その日は水族館が特集されていた。
茹だるような暑さで辟易していた毎日に、青い水の中、魚達が泳ぐ涼しげな光景はとても魅力的だった。
4860興奮が冷めない百目が、数歩前をピョンピョン跳ねながら歩いている。メフィスト二世が隣で苦笑いをしながら窘めた。
「おい、人にぶつかるぞ。」
「アシカさんは芸をたくさん覚えて賢いんだモン。」
「上手だったねぇ。」
「楽しかったモン!」
はしゃぐ百目に、真吾は水族館に来てよかったと微笑んだ。
きっかけはテレビだった。
嫌々夏休みの宿題を進めながら、気分転換に何処か遠出したいなと考えていた時だった。
お昼の素麺を食べながら観ていたテレビが、夏休みで賑わう行楽地を取り上げていて、その日は水族館が特集されていた。
茹だるような暑さで辟易していた毎日に、青い水の中、魚達が泳ぐ涼しげな光景はとても魅力的だった。
かがみのせなか
PAST平成二埋です。星月夜に二世が埋さんに会いに来ます。
星までの距離 今日はマジックアワーがきっと見られるね。そう話す友人の目は赤く染まり始めた空に向けられていた。
よく晴れた夏の夕暮れに、真吾、メフィスト二世、百目の三人は、駅のホームで並んで立っていた。朝早くから隣町の市民プールへ遊びに行き、二世のおしゃれ過ぎる水着で思う存分人の目線を独占して来た帰り道だった。
遊び疲れてもう半分目が閉じている百目は、真吾に甘えて寄り掛かっている。それを真吾を挟んだ反対側から叱りつつ、それって何だ?とメフィスト二世は問う。
「水平線の方が赤くて、上空に向かって少しずつ群青へ空の色が変化していくその時間の事だよ。あまりにも美しい光景だからそう呼ばれてるんだ。」
「黄昏の事か。」
「黄昏時とか逢魔時って、警戒すべき時間って意味が裏にあるから、今は、何となくね。」
5175よく晴れた夏の夕暮れに、真吾、メフィスト二世、百目の三人は、駅のホームで並んで立っていた。朝早くから隣町の市民プールへ遊びに行き、二世のおしゃれ過ぎる水着で思う存分人の目線を独占して来た帰り道だった。
遊び疲れてもう半分目が閉じている百目は、真吾に甘えて寄り掛かっている。それを真吾を挟んだ反対側から叱りつつ、それって何だ?とメフィスト二世は問う。
「水平線の方が赤くて、上空に向かって少しずつ群青へ空の色が変化していくその時間の事だよ。あまりにも美しい光景だからそう呼ばれてるんだ。」
「黄昏の事か。」
「黄昏時とか逢魔時って、警戒すべき時間って意味が裏にあるから、今は、何となくね。」
かがみのせなか
PAST平成埋さん。みんなとお別れしたその後の成長した埋さんのお話。
※瓦礫に閉じ込められる描写があります。
親愛なる君へ お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。君のことですから相変らず少し無理をして、それでも気丈に前を見据えて明るく毎日を過ごしているのでしょう。
君と、十二使徒の皆と別れてから、僕は僕なりに、見果てぬ夢に向かいひたすら走り続けて来ました。あれから何十年と月日を重ねても、僕自身は何も変わらず、恐らくこの姿を見たら君は、体ばかり大きくなってと、呆れて笑うでしょう。
今君はどんな世界を見ているのでしょうね。僕の知らない世界をきっと自由に駆け回っているのでしょう。僕は僕で、君の知らない世界を見詰め続けてきました。
困難に直面する度、思い知る己の無力さを痛感し、目指す場所の遠さに、時折呆然とすることもあります。これまで幾度、君たちとの思い出に励まされたか知れません。今はもう鮮やかに思い出されるばかりのあの眩しい日々も、その時はただ前に進むために僕等は必死でしたね。ならば今この苦しみもきっとあの日々の続きであると、いつか懐かしく思い出される良き日々なのだと、思い直すことができるのです。
4279君と、十二使徒の皆と別れてから、僕は僕なりに、見果てぬ夢に向かいひたすら走り続けて来ました。あれから何十年と月日を重ねても、僕自身は何も変わらず、恐らくこの姿を見たら君は、体ばかり大きくなってと、呆れて笑うでしょう。
今君はどんな世界を見ているのでしょうね。僕の知らない世界をきっと自由に駆け回っているのでしょう。僕は僕で、君の知らない世界を見詰め続けてきました。
困難に直面する度、思い知る己の無力さを痛感し、目指す場所の遠さに、時折呆然とすることもあります。これまで幾度、君たちとの思い出に励まされたか知れません。今はもう鮮やかに思い出されるばかりのあの眩しい日々も、その時はただ前に進むために僕等は必死でしたね。ならば今この苦しみもきっとあの日々の続きであると、いつか懐かしく思い出される良き日々なのだと、思い直すことができるのです。