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    #クリテメ

    critémé

    kuriteme_tobe

    DONE折角だからイベント的な話をと思い、「お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃう」を言わせたくて書いたはずなのに、🐏が👁️を大好きな話になってしまいました……。ふんわりED後みたいな世界ですが、息をするようにifです。ハロウィンは噛み砕いて違和感ないくらいに落とし込んだ(多分)他、細かいことを好き勝手に設定しています。付き合っている二人。
    Happy Halloween 年に何回か行われる、ストームヘイル周辺の魔物狩り。去年はあたたかい時期が長く、木の実や小動物の生育が例年より活発だった。お陰でそれを餌にする魔物たちが爆発的に増え、二週間強で終わるはずが二月近くかかる事態になっている。生態系のバランスが崩れれば、この地の種の存族も危ぶまれるし、旅人の命も脅かされかねない。夏の終わりより始まった討伐が完了した頃には、頬を撫でる風に冬の気配を感じるようになっていた。
     順調に事が進んだのなら、山の裾野まで広がる赤、黄、橙といった色が鮮やかに交じり合う様を、恋人と一緒に楽しみたかった。弁当を用意して山道を歩くのもいいだろう。忙しい人だ。料理をする姿はあまり想像つかないから、僕が準備したっていい。獣肉にスパイスと小麦粉をまぶして揚げ、溶いた鶏卵には調理料を混ぜて焼く。頑張って作った料理に、すらりとした指が絡んだフォークを彼が突き立て、僕の口へ運んでくれるのだ。想像すれば幸せなぬくもりで胸が満ちるが、今年は叶うことのない願望である。この地の冬は早い。風が冷たさを孕み始めれば、あっという間に凍える季節が到来する。二人の予定を合わせて自然を満喫するなど不可能に近い。下手をすれば、真っ白な世界に囚われて遭難しかねなかった。
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    たなかんぼ

    DOODLE闇に堕ちた聖堂騎士と慈愛の異端審問官の話。
    陽楽さんと話した最高の設定。

    以下捏造・特殊設定↓
    テメノスを愛する故に何処へも行けないよう様々な装飾品を贈ったり、少しずつ枷として身体への拘束をしたりする。クリックへの愛を自覚して逃げてしまったテメノスは、クリックの歪んだ愛に報いる為に心と体の全てを委ねる……

    ↑前提のモブ視点。
    誓いの騎士と籠の鳥文字通り、籠の鳥となったテメノスを囲って暮らすクリック。誓いを交わしたふたりは、小さな街ですぐに噂になった。

    金髪の聖堂騎士の傍らにはいつも美しい人がいたという──

    たまに見かける美しい人は車椅子に乗せられたままおだやかに微笑むだけで一言も喋らない。介助している聖堂騎士も笑顔だけど少し怖かった。
    ベールに隠された人は足が不自由なようで、聖堂騎士無しには現れない。華奢な体は大小様々な装飾品で彩られ、飾られ、まるで何かに守られるようにそこに在る。

    偶然、足元に転がしてしまったコインを拾おうとして仰ぎ見たその人は…かの著名な宗教画のように美しかった。
    直後、コインを掴んだ掌の横を鈍色の大剣が貫いた。

    「あれっ、外しちゃいましたか?すぐにその不埒な手を罰しますから… 動かないでくださいね。」
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    たなかんぼ

    DONE仲間に祝福される、付き合って数年目のクリテメ
    AIUE.かなしい、つらい、くるしい。くらくてつめたい。だれもいない。だきしめてほしい。
    ……あいしてほしい。





    孤児時代、来る日も来る日も飢えと戦っていた。その名残か現在まで食は細いまま。汁菜を好み、口をつける。ひとくちは小さく、消化の速度も遅い。仲間内では比較的ゆっくりと食事を摂るほうだった。最年長のオズバルドと並び、互いにぽつりぽつりと本の内容を確認したり、時には無言で終えたりもする。

    旧友を失って、恩人を失った。その事がより一層食欲の減退に拍車をかけていたのだが、キャスティやオーシュットがやれ健康だの干し肉だのと構うものだから、観念してゆっくりながら量を摂ることに専念していた。
    皆、心配してくれているのだ。その心に報いたい。だが困ったことに胃袋はスープ一杯で満腹を訴える。我ながらほんとうに小さくて辟易するが、こうなるともうひとくちも食べたいとは思えない。口に物を運ぶのが億劫になり、喉奥からははっきりとした拒絶が聞こえる。はあぁ、と深いため息をついて器に盛られた薄切りの肉を持ち上げては置くことを繰り返している。行儀もよくないので、今日のところはギブアップを宣言しようとした時だった。
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