むくげ
MAIKINGシリーズものに決着をつけたいきもち傷の手当や、事故後の処理はその日の夜までかかった。フリスクは多少擦り傷を作ってはいたが、トリエルに至っては驚いて尻もちをついただけで全くの無傷。
フリスクは事故後の容態を心配したトリエルによって強制的に翌日一日の安静を命じられていた。
ノックの後10秒待っても返事が無いドアをサンズは薄く開く。さっと目を走らせても部屋の中に特に変わったところはなく、キルトのマットがかけられたベッドの上でうずくまる塊が見えた。
「おーい、ちびっ子?」
声をかけると、フリスクが寝返りを打ってうめくような返事を寄越す。入室の許可を得たことにして、サンズはズカズカと部屋に入り込む。ベッドの隣、フリスクが日頃使っている勉強机に備え付けられた椅子を引いて座った。
883フリスクは事故後の容態を心配したトリエルによって強制的に翌日一日の安静を命じられていた。
ノックの後10秒待っても返事が無いドアをサンズは薄く開く。さっと目を走らせても部屋の中に特に変わったところはなく、キルトのマットがかけられたベッドの上でうずくまる塊が見えた。
「おーい、ちびっ子?」
声をかけると、フリスクが寝返りを打ってうめくような返事を寄越す。入室の許可を得たことにして、サンズはズカズカと部屋に入り込む。ベッドの隣、フリスクが日頃使っている勉強机に備え付けられた椅子を引いて座った。
むくげ
MAIKING本編前のアズとキャラの子供時代。トリエルとキャラの関係を考えたくて始めてみたお話。
あっちこっち書き散らかしてます。
時間が出来たら一つずつしっかり書きたいな。
「まぁ!キャラ、あなたったら」
キッチンから漏れ聞こえてきた声に、ボクはふと足を止めた。今日はウォーターフェルのあたりまで遊びに行こうと誘うためにキャラを探しているところだったんだけど。
かあさんの声が固くて、咎めるような雰囲気があったから。なんとなく物陰に隠れてキッチンの方へ耳を澄ませた。
あたりには良い匂いが漂っている。バターと、砂糖が焦げる匂い。
「これは、みんなで食べるために焼いたのよ。こんな風にしなくても、あなたの分はちゃんとある。分かっているでしょう?」
ゆっくりと噛み砕くように言うかあさんの言葉に返ったのは、キャラの冷たい笑い声だった。
「分からない。何を教えた気になっているの?」
「キャラ…」
680キッチンから漏れ聞こえてきた声に、ボクはふと足を止めた。今日はウォーターフェルのあたりまで遊びに行こうと誘うためにキャラを探しているところだったんだけど。
かあさんの声が固くて、咎めるような雰囲気があったから。なんとなく物陰に隠れてキッチンの方へ耳を澄ませた。
あたりには良い匂いが漂っている。バターと、砂糖が焦げる匂い。
「これは、みんなで食べるために焼いたのよ。こんな風にしなくても、あなたの分はちゃんとある。分かっているでしょう?」
ゆっくりと噛み砕くように言うかあさんの言葉に返ったのは、キャラの冷たい笑い声だった。
「分からない。何を教えた気になっているの?」
「キャラ…」
むくげ
MAIKING子フリとサンズの朝ごはん作りとろとろとした生地にぽこぽこといくつもの泡が沸く。そのタイミングで生地の下にフライ返しを挿し入れてひっくり返せば、なんとも綺麗な焼き色がついていた。返した生地は目に見えてふくふくと膨らんで、香ばしい香りがあたりに漂う。
「膨らむの面白いか?」
「…うん」
じっと生地を見つめるフリスクの視線に気づいてサンズがニマリとした。フリスクが何かを解明しようとしているとき、サンズはそれを面白がるようにこちらを見ていることが多いように思う。
「ふくらし粉を混ぜたらすぐ焼かなきゃならないのは、こう…水っ気に粉が反応して、ブクブク泡が沸くからなのかなって思って」
「ふーん?」
「生地にこまかい泡がいっぱい入るとフワフワになるでしょ?時間が経つと泡が消えちゃうから、なのかな」
387「膨らむの面白いか?」
「…うん」
じっと生地を見つめるフリスクの視線に気づいてサンズがニマリとした。フリスクが何かを解明しようとしているとき、サンズはそれを面白がるようにこちらを見ていることが多いように思う。
「ふくらし粉を混ぜたらすぐ焼かなきゃならないのは、こう…水っ気に粉が反応して、ブクブク泡が沸くからなのかなって思って」
「ふーん?」
「生地にこまかい泡がいっぱい入るとフワフワになるでしょ?時間が経つと泡が消えちゃうから、なのかな」
むくげ
MAIKING被観測者シリーズのフリの演説シーン。細切れに書いて繋げるやり方どうなんだ。
壇上に立ったフリスクはマイクを少し調整した後、手にしていた原稿用紙をチラリと見て、そしてそれを小さく畳んでしまった。
白いパンツスーツ姿のフリスクは、もともと細身で小柄だというのに、大勢の人間達に囲まれ、広い壇上でますますちっぽけに見える。
深呼吸をして唇を引き結び、聴衆の中の一点をまっすぐに見つめ、
そして明確に、誰かに向けて微笑んだ。
「…まず、少し砕けた言葉を使うことをお許しください。ご覧のとおりわたしは子供…ガキンチョで、これからお話することはわたしの友人たちについてのことです。
いま、世界中の人間の皆さんはとても戸惑っているのではないかと思います。
姿形が違い、文化も違う。突然押し寄せた隣人を愛せよと言われても困る。そうだと思います。
1470白いパンツスーツ姿のフリスクは、もともと細身で小柄だというのに、大勢の人間達に囲まれ、広い壇上でますますちっぽけに見える。
深呼吸をして唇を引き結び、聴衆の中の一点をまっすぐに見つめ、
そして明確に、誰かに向けて微笑んだ。
「…まず、少し砕けた言葉を使うことをお許しください。ご覧のとおりわたしは子供…ガキンチョで、これからお話することはわたしの友人たちについてのことです。
いま、世界中の人間の皆さんはとても戸惑っているのではないかと思います。
姿形が違い、文化も違う。突然押し寄せた隣人を愛せよと言われても困る。そうだと思います。
むくげ
SPUR MEまたお尻を引っ叩いて貰えませんか…フリの成人お祝い続き。サンフリになる予定ながら、ここからどうやってフリを口説いたものか悩ましい。
「よう、もうホームシックかい?」
突然真隣から聞こえた声に、フリスクはハッと振り向く。細長いグラスを片手に、もう一方の手ではベンチの手すりで頬杖をついて、まるで一時間前からここで寛いでいたかのような様相のサンズがそこにいた。
驚いた顔のフリスクを愉快そうに眺め、グラスの中で小さな気泡が上がる黄金色の飲み物をゆらゆらと揺らしている。
「違うよ」
涙を見られたことと、驚かされたこと、そのどちらもがフリスクには気恥ずかしい。急いで目の端に残る涙を手で払い、サンズが寄りかかる手すりとは逆の方の手すりに少し寄りかかるようにして、サンズから距離を取った。
実のところ、フリスクは今日…いやもう何ヶ月も前からサンズを少し避けていた。決して意地悪でということはない。むしろ、その逆の理由で。
1282突然真隣から聞こえた声に、フリスクはハッと振り向く。細長いグラスを片手に、もう一方の手ではベンチの手すりで頬杖をついて、まるで一時間前からここで寛いでいたかのような様相のサンズがそこにいた。
驚いた顔のフリスクを愉快そうに眺め、グラスの中で小さな気泡が上がる黄金色の飲み物をゆらゆらと揺らしている。
「違うよ」
涙を見られたことと、驚かされたこと、そのどちらもがフリスクには気恥ずかしい。急いで目の端に残る涙を手で払い、サンズが寄りかかる手すりとは逆の方の手すりに少し寄りかかるようにして、サンズから距離を取った。
実のところ、フリスクは今日…いやもう何ヶ月も前からサンズを少し避けていた。決して意地悪でということはない。むしろ、その逆の理由で。
むくげ
DONE素敵タグに乗りたくて書きました酔っ払いサンズとフリのSSです。サンフリ気味ですがフリは無自覚。おチビフリなので、大人フリでも書きたいところ…
「よお、ちびっ子。まだ起きてたか」
「サンズ…お酒くさい」
スケルトン兄弟宅にお泊まりに来ていたフリスクが眠る前に読む本を選ぶ頃、今日一日姿を見せなかったサンズがようやく帰ってきた。
「あっ、兄ちゃんやっと帰ってきた!今日はフリスクが遊びに来るって言ってたでしょ!」
「へっへ、だから、寝る前には帰って来たんだろ」
歯磨きしながら洗面所から顔を出したパピルスが責めるも、サンズは少しも悪びれない。
ソファにどっかりと座ると、ニヤニヤ頬杖をつきながらパジャマ姿で今夜の絵本を吟味していたフリスクを眺めた。
「お前パジャマもシマシマなんだな」
「このパジャマ何度も見てるじゃん…」
「そーだっけ?いちいち覚えてないな」
「もー、フリスクに絡むのやめなよねッ」
2052「サンズ…お酒くさい」
スケルトン兄弟宅にお泊まりに来ていたフリスクが眠る前に読む本を選ぶ頃、今日一日姿を見せなかったサンズがようやく帰ってきた。
「あっ、兄ちゃんやっと帰ってきた!今日はフリスクが遊びに来るって言ってたでしょ!」
「へっへ、だから、寝る前には帰って来たんだろ」
歯磨きしながら洗面所から顔を出したパピルスが責めるも、サンズは少しも悪びれない。
ソファにどっかりと座ると、ニヤニヤ頬杖をつきながらパジャマ姿で今夜の絵本を吟味していたフリスクを眺めた。
「お前パジャマもシマシマなんだな」
「このパジャマ何度も見てるじゃん…」
「そーだっけ?いちいち覚えてないな」
「もー、フリスクに絡むのやめなよねッ」
むくげ
MAIKINGTwitterアンケートで2位だった「フリの成人お祝い」の冒頭になりそうな雰囲気。何故2位から書き出してしまったのか。そしてまだサンフリじゃありません。自分ルールで「食べ物を登場させる」ことにしてます。フリの成人お祝い温い夏の夜風が吹き抜ける。すっかり陽の落ちた庭先は暗く、フリスクは足元に気をつけながらベンチに腰掛けた。白いペンキの塗られたそれは、この家に引っ越してきたばかりの時にアズゴアと一緒に作った物だ。
地上での新しい暮らしのために借りた古い家はこじんまりした二階建て。悪い魔女が住んでいそうな汚れた壁と荒れ放題の庭。外装も内装も全て好きにして良いとオーナーからの許しを得て、トリエルと二人で毎日張り切って素人が出来る範囲のリフォームをした。
剥げたペンキを塗り直し、壁紙を変え、カーテンを選んだ。庭の草を刈り、季節ごとの花を植えた。ちょっとした茂みのようになっている低木の白い花は夏に咲くフリスクのお気に入りだ。星のような形で、甘い香りを漂わせる。暗い中で見ると花が月の明かりを受けて薄ぼんやりと光って見える。すぐそばに星があるようだった。
1056地上での新しい暮らしのために借りた古い家はこじんまりした二階建て。悪い魔女が住んでいそうな汚れた壁と荒れ放題の庭。外装も内装も全て好きにして良いとオーナーからの許しを得て、トリエルと二人で毎日張り切って素人が出来る範囲のリフォームをした。
剥げたペンキを塗り直し、壁紙を変え、カーテンを選んだ。庭の草を刈り、季節ごとの花を植えた。ちょっとした茂みのようになっている低木の白い花は夏に咲くフリスクのお気に入りだ。星のような形で、甘い香りを漂わせる。暗い中で見ると花が月の明かりを受けて薄ぼんやりと光って見える。すぐそばに星があるようだった。