きさいち
DONE@mon300nov #Monthly300300字小説 お題【伸】
ジャンル:ホラー タイトル【切手のない手紙】
切手のない手紙 拝啓 貴方様へ
初めまして、突然のお手紙失礼いたします。私は前田と申します。貴方は覚えていないでしょうが先日お会いしてから貴方のことを探しておりました。
そこは寂れた観光地、雨の日でした。帰りが遅くなり暗い山中で困っていた私に貴方は手を差し伸べてくれました。その手のなんと温かかったこと……。
近くには古い廃墟もあり肝試し感覚で訪れる人も後を絶ちません。つい先日、件の廃墟で女性のご遺体が発見されたのだそうです。他殺なのだとか。
……嫌だわ私ったら、名も知らぬ貴方にしたためることではございませんね。お喋りはここまでにして近々そちらへ伺おうと思います。
追伸 どうして私を殺したの?
300初めまして、突然のお手紙失礼いたします。私は前田と申します。貴方は覚えていないでしょうが先日お会いしてから貴方のことを探しておりました。
そこは寂れた観光地、雨の日でした。帰りが遅くなり暗い山中で困っていた私に貴方は手を差し伸べてくれました。その手のなんと温かかったこと……。
近くには古い廃墟もあり肝試し感覚で訪れる人も後を絶ちません。つい先日、件の廃墟で女性のご遺体が発見されたのだそうです。他殺なのだとか。
……嫌だわ私ったら、名も知らぬ貴方にしたためることではございませんね。お喋りはここまでにして近々そちらへ伺おうと思います。
追伸 どうして私を殺したの?
_iikkrnggett
DONE毎月300字小説企画に参加しました第26回お題:「誘う」
ジャンル:BL(勇者受け)(受け視点)
「勇者」と「騎士」がブレてますが気にしないで下さい
何でも大丈夫な方どうぞ
乗ってくれないか スフィクを誘ったのはやはり想定外のようで、嘘だろなんで俺が、と言われた。それもそのはず、騎士候補に選ばれた俺のお供となれば、最も親しいとか、力持ちや物知りといった即戦力が求められるもので、ただの知り合いかつ能力も人並みならばお呼びでないと思うのも無理はない。
だが使者によれば、彼は自覚してないようだが魔力が相当あり、イーサン同様このまま片田舎で燻らせておくには惜しい存在だと、推挙されたのだ。ただ本命ではないので、わきまえるためにもしばらくそれは伏せるらしいが。
村を守るのも重要なのだと、彼らには納得させたつもりだ。俺達もできることをするのに何の咎があるだろう。
俺は、窓から月を眺めていた。
302だが使者によれば、彼は自覚してないようだが魔力が相当あり、イーサン同様このまま片田舎で燻らせておくには惜しい存在だと、推挙されたのだ。ただ本命ではないので、わきまえるためにもしばらくそれは伏せるらしいが。
村を守るのも重要なのだと、彼らには納得させたつもりだ。俺達もできることをするのに何の咎があるだろう。
俺は、窓から月を眺めていた。
きさいち
DONE@mon300nov #Monthly300300字小説 お題【誘う】
ジャンル:ホラー タイトル【深夜の探検】
ホラーだけど怖くはないです
深夜の探検 その年はとても暑い日。長らく一人っ子だった僕に妹ができる。ママの出産が終わるまで僕は近距離に住むジジとババの家にお世話になることになった。
いつもは晩ご飯が終わると家に帰るのに今日はお泊り! いつもと違う夜の雰囲気の中、家中を探検した。もちろん怒られないようにジジババには内緒にこっそりとだ!
居間、お風呂場、キッチン。暗い部屋は怖いけど隅々まで知っているはずの家がなんだか楽しい。ふと、仏間から何か聞こえる。誘われるように響くそれにふらふらと近付くと仏壇から白い腕が伸びている。おいでおいでするそれを無意識に掴み引っ張るといつの間にか朝になっていた。
これは兄と昔話をする度にする思い出だ。
300いつもは晩ご飯が終わると家に帰るのに今日はお泊り! いつもと違う夜の雰囲気の中、家中を探検した。もちろん怒られないようにジジババには内緒にこっそりとだ!
居間、お風呂場、キッチン。暗い部屋は怖いけど隅々まで知っているはずの家がなんだか楽しい。ふと、仏間から何か聞こえる。誘われるように響くそれにふらふらと近付くと仏壇から白い腕が伸びている。おいでおいでするそれを無意識に掴み引っ張るといつの間にか朝になっていた。
これは兄と昔話をする度にする思い出だ。
きさいち
DONE@mon300nov#Monthly300
300字小説 お題【あける】
タイトル【あけるな】
ジャンル:ホラー
モチーフはコトリバコですが特に深く考えずに書いたのでふわっとした解釈でOKです。
私は暗闇の中で生み出された。
名前などは無く、姿形も安定していない。
私を生み出した人間は私を狭い小屋の中に閉じ込め、その外壁を豪華な装飾で飾り立てた。それには仕掛けがなされており、決められた手順でスライドすると開くのだと誰かが言っていた。
暗い空間は冷たく寂しい。時々聞こえる外界からの声に耳を澄ませこの部屋の外はどうなっているのかと思いを募らせる。
幾年が経った頃だろうか。数人の若い声が聞こえる。
若者が外壁をいじる音。少しずつ、何日もかけて壁が解かれていく。時折「のろい」「あけてはいけない」などと聞こえてくるがそんなことはどうでもいい。
さあ、早くこの箱を開けて出しておくれ。
307名前などは無く、姿形も安定していない。
私を生み出した人間は私を狭い小屋の中に閉じ込め、その外壁を豪華な装飾で飾り立てた。それには仕掛けがなされており、決められた手順でスライドすると開くのだと誰かが言っていた。
暗い空間は冷たく寂しい。時々聞こえる外界からの声に耳を澄ませこの部屋の外はどうなっているのかと思いを募らせる。
幾年が経った頃だろうか。数人の若い声が聞こえる。
若者が外壁をいじる音。少しずつ、何日もかけて壁が解かれていく。時折「のろい」「あけてはいけない」などと聞こえてくるがそんなことはどうでもいい。
さあ、早くこの箱を開けて出しておくれ。
きさいち
DONE #Monthly300 @mon300nov300字小説 テーマ【作】
タイトル【そして解き放たれた】
SF(少し不思議)
縦読みが好きなのでそっちで設定してますが、もしかしたらYの字が横になってるかもしれないけどご愛敬ですてへぺろ
そして解き放たれた 今世紀最後の天才と謳われた科学者、Y氏の行方がわからないという報せがネットを賑わせた。Y氏は行きつけのバーで、近々すごい発表があると振れ回り千鳥足で帰宅する姿が目撃されているがその後の足取りは掴めていない。
Y氏の親戚が自宅を訪れると地下へと通じる扉が開いていることがわかり、警察立ち合いのもと中を捜索することになった。
中には数々の薬品の他に動物の肉片や骨のような物が散乱しており、一際大きな檻は内側から破壊され室内は見るも無残な姿になっていた。
Y氏のここ数十年間の研究内容は『生命の創造』
もしかしたらY氏はなにかとんでもないものを作りだしてしまったのかもしれない。
293Y氏の親戚が自宅を訪れると地下へと通じる扉が開いていることがわかり、警察立ち合いのもと中を捜索することになった。
中には数々の薬品の他に動物の肉片や骨のような物が散乱しており、一際大きな檻は内側から破壊され室内は見るも無残な姿になっていた。
Y氏のここ数十年間の研究内容は『生命の創造』
もしかしたらY氏はなにかとんでもないものを作りだしてしまったのかもしれない。
きさいち
DONE毎月300字小説企画 お題『車』#Monthly300 @mon300nov
タイトル【家に帰るまでが遠足です】
家に帰るまでが遠足です「家に帰るまでが遠足です。みなさん気を付けて帰りましょう」
バスのステップから勢いよく飛び降りて、楽しかった余韻を引きずりながら軽くスキップすると背後から先生の声がする。
「タナハシ、大丈夫か?」
クラスメイトのタナハシは真っ青な顔で口元にハンカチを押し当てている。そういや行きも具合が悪そうだったな。
特に気にせず帰宅の途につく。
大通りで信号待ちをしていると目の前に白い車が停まった。何気なく中を見るとそこにはぐったりと下を向くタナハシの姿。家族に迎えにきてもらったのかな、自分の家の車でも酔うなんて変な奴その時はそう暢気に考えていた。
あれから数年、タナハシの遠足はまだ終わらない。
300バスのステップから勢いよく飛び降りて、楽しかった余韻を引きずりながら軽くスキップすると背後から先生の声がする。
「タナハシ、大丈夫か?」
クラスメイトのタナハシは真っ青な顔で口元にハンカチを押し当てている。そういや行きも具合が悪そうだったな。
特に気にせず帰宅の途につく。
大通りで信号待ちをしていると目の前に白い車が停まった。何気なく中を見るとそこにはぐったりと下を向くタナハシの姿。家族に迎えにきてもらったのかな、自分の家の車でも酔うなんて変な奴その時はそう暢気に考えていた。
あれから数年、タナハシの遠足はまだ終わらない。