むつき
DONEヤスタネ+シンノウ雪合戦イベント、シンノウ先生の回診を手伝うヤスヨリの話
回診 ウォーモンガーズ所属の軍医が片手から下げた鞄には、見かけ以上に多くの薬や機材が収められているらしい。相手の容体を詳細に聞き取ったのち、その鞄の口は静かに開く。中からは実に様々なもの――傷口の手当てのための消毒液や塗り薬、気分を落ち着けるアロマオイルやハーブのポプリ、お灸に薬草茶など――が取り出され、そばに控えているヤスヨリを驚かせた。
部屋で頭痛を訴えている者がいると聞いて、二人はホテルのロビーから上層階へと移動する。地厚なカーペットが敷き詰められている廊下は足音も響かず、穏やかな静けさに満ちていた。
「ヤスヨリくんは、医術に興味があるのかい」
ふとシンノウの声が響く。病人の居所を探して熱心に各ドアの部屋番号を確かめていたヤスヨリは足を止めた。軍医の意図するところが分からず、たくましい眉の下、丸っこい瞳を瞬かせる。
1384部屋で頭痛を訴えている者がいると聞いて、二人はホテルのロビーから上層階へと移動する。地厚なカーペットが敷き詰められている廊下は足音も響かず、穏やかな静けさに満ちていた。
「ヤスヨリくんは、医術に興味があるのかい」
ふとシンノウの声が響く。病人の居所を探して熱心に各ドアの部屋番号を確かめていたヤスヨリは足を止めた。軍医の意図するところが分からず、たくましい眉の下、丸っこい瞳を瞬かせる。
むつき
DONEシンノウ+ヨリトモ+主人公雪山のリゾート施設で軍医するシンノウ先生、グランピングテントを医務室として使っていてほしいという願望
グランピング医務室 突如として決定した冬のレジャー――ギルド対抗の雪合戦――のため、「臨時」の医務室を用意したと聞いた時には、さてどんなプレハブ小屋か手狭な部屋があてがわれるかと内心身構えたのだ。必要な薬品や機材の詰まった巨大なトランクを携え、指定された場所へ向かったシンノウを迎えたのは、見上げるほどに大きな半球型のドームテントだった。
真っ白な雪原の中に建てられているはずが、中は驚くほどに温かい。テントの素材がいいのか、焚かれているストーブが強力なのか、あるいはその両方なのだろう。大きなソファベッドやたっぷりとしたカーテン、木製のしゃれた戸棚は、温かな印象を与えると同時に装飾的で、殺風景な灰色の調度品やパイプベッドを見慣れた身には少し戸惑う。やわらかな色合いに灯る照明、心地良さを演出する空間。良くも悪くも、ここはリゾート施設なのだ。
3641真っ白な雪原の中に建てられているはずが、中は驚くほどに温かい。テントの素材がいいのか、焚かれているストーブが強力なのか、あるいはその両方なのだろう。大きなソファベッドやたっぷりとしたカーテン、木製のしゃれた戸棚は、温かな印象を与えると同時に装飾的で、殺風景な灰色の調度品やパイプベッドを見慣れた身には少し戸惑う。やわらかな色合いに灯る照明、心地良さを演出する空間。良くも悪くも、ここはリゾート施設なのだ。
むつき
DONEシンノウ←主人公くん主人公の好き好きアピと先生のオトナの対応
保健室 がらがらという音を響かせ、遠慮のない調子で引き戸が滑る。あー! と、俺を糾弾する声が低く上げられた。
「おいおい、まーだいるじゃねぇか。オレが戻る前に帰るようにって、そう言っただろう?」
言われた言葉は覚えていた。ここは保健室だ。心身の不調を訴える学生のための場所。あいにく俺は怪我もしていなければ頭も痛くない。至って健康体だ。ただ一点、胸の中からもやついた感覚を拭い去れないことだけを除いては。
前後を反対にした椅子をまたぐようにして座ったまま背もたれの上で腕を組み、そこへ顎を乗せる。まだ寮には戻りたくないというアピールをしてみせた俺を見下ろして、シンノウは盛大に鼻を鳴らした。
「まったく、仕方のねぇ問題児くんだなぁ」
1962「おいおい、まーだいるじゃねぇか。オレが戻る前に帰るようにって、そう言っただろう?」
言われた言葉は覚えていた。ここは保健室だ。心身の不調を訴える学生のための場所。あいにく俺は怪我もしていなければ頭も痛くない。至って健康体だ。ただ一点、胸の中からもやついた感覚を拭い去れないことだけを除いては。
前後を反対にした椅子をまたぐようにして座ったまま背もたれの上で腕を組み、そこへ顎を乗せる。まだ寮には戻りたくないというアピールをしてみせた俺を見下ろして、シンノウは盛大に鼻を鳴らした。
「まったく、仕方のねぇ問題児くんだなぁ」
むつき
DONE丑年新年イベントストーリーのシンノウ先生と問題児くん。サモナー→→(←)シンノウ先生くらいのイメージ。お酌 朱塗りの椀や漆塗りの小皿はどれも下ろしたばかりとみえて、見事な艶を帯びている。何しろ改装したての旅館なのだ。建物に合わせ、新しく買い求められたのであろうことは察しがついた。器のそれぞれには贅と粋を凝らした料理がこまごまと盛られ、いかにも華やかな正月の風情を醸し出している。
本来なら貴重な休日を堪能できる年末年始になるはずだったが、こんな贅沢な食事で饗されるのなら休日出勤も悪くはない。そんな膳を見下ろしているシンノウの目の前に、ふと影がさした。顔を上げる。そこには酒気漂う宴会場には似つかわしくない、学生服姿の少年が立っていた。
「おや、問題児くんじゃないか」
ギュウマオウに集められたアルバイトのメンバーたちの中には、彼を含め高校生が数人交じっていることはシンノウも知っていた。未成年たちは未成年たちだけで夕飯を済ませ、もう部屋に引き取って休んでいるか、広い大浴場を堪能しているはずだ。この大広間での宴会には酒も出すから、大人たちしか入れないようにしたと、ギュウマオウは言っていたというのに。
2093本来なら貴重な休日を堪能できる年末年始になるはずだったが、こんな贅沢な食事で饗されるのなら休日出勤も悪くはない。そんな膳を見下ろしているシンノウの目の前に、ふと影がさした。顔を上げる。そこには酒気漂う宴会場には似つかわしくない、学生服姿の少年が立っていた。
「おや、問題児くんじゃないか」
ギュウマオウに集められたアルバイトのメンバーたちの中には、彼を含め高校生が数人交じっていることはシンノウも知っていた。未成年たちは未成年たちだけで夕飯を済ませ、もう部屋に引き取って休んでいるか、広い大浴場を堪能しているはずだ。この大広間での宴会には酒も出すから、大人たちしか入れないようにしたと、ギュウマオウは言っていたというのに。