conatan111
DONE戴冠式の後、グランコリヌ城下町でウキウキと食べ歩きする3人の小話。原作準拠・カプ無しのつもりで書いていますが、ほんのりギャメセレ味があるかもしれません。
小雨さん(@lightraincat)の描かれた、
https://x.com/lightraincat/status/1924431390378205566
こちらのイラストにインスピレーションを受けて、書かせていただきました。かわいい!
ひとくち、いいですか? 鼻先で鳥の串焼きが揺れている。鳥肉の油の香ばしい香りと、香草の爽やかな香りが鼻腔をくすぐった。まだ湯気を上げている肉の表面の、てりてりとした焼き色が視覚にもおいしそうだ。これがセレストの好物であることを、目の前の二人は知っている筈であった。
(これは、私が食べてもいいのかしら……?)
セレストはちらっと視線を前にやった。
「ギャメル~、ひとくちくれよ」
「自分で買えよな。それくらいの小遣いは持ってきてんだろ」
「手が塞がっちまってるんだよ。見りゃ分かんだろ」
マンドランが、両手に抱えきれないほどのリンゴの入った紙袋を、これ見よがしに大事そうに持ち直す。ギャメルがひょいっと片眉を上げるのが、彼の肩越しにも分かった。
2569(これは、私が食べてもいいのかしら……?)
セレストはちらっと視線を前にやった。
「ギャメル~、ひとくちくれよ」
「自分で買えよな。それくらいの小遣いは持ってきてんだろ」
「手が塞がっちまってるんだよ。見りゃ分かんだろ」
マンドランが、両手に抱えきれないほどのリンゴの入った紙袋を、これ見よがしに大事そうに持ち直す。ギャメルがひょいっと片眉を上げるのが、彼の肩越しにも分かった。
conatan111
DOODLE謎時空 ニコバー現パロセレちゃん&ギャメ君です。特にカプなどはない。
「わあ、かわいいですね!」
そう言ってセレストが指差したのは、ギャメルの家のぼろぼろの障子である。
その障子は見事なまでに穴だらけであった。子供の頃にギャメルや妹が指で開けた穴もあれば、うっかり箒の柄で突き破ったものもある。よろけて手をついた拍子に景気よく破れてしまい、穴というより大きな裂け目になっているところもあった。張り替えるのを不精して、つどつど補修の紙を重ねているせいで、障子はまっさらな所がひとつもない。もともと貼ってあった一枚の障子の面積より、花形に切った補修紙の方が多いくらいだ。幼い自分や妹が切り抜いた花もそのまま残っていて、いびつな形のものも多かった。あの、花ともヒトデともつかない形のものは、マンドランが切ったものだっただろうか。もともとの真っ白だった姿が思い出せない、まるでテセウスの舟みたいだ。
865そう言ってセレストが指差したのは、ギャメルの家のぼろぼろの障子である。
その障子は見事なまでに穴だらけであった。子供の頃にギャメルや妹が指で開けた穴もあれば、うっかり箒の柄で突き破ったものもある。よろけて手をついた拍子に景気よく破れてしまい、穴というより大きな裂け目になっているところもあった。張り替えるのを不精して、つどつど補修の紙を重ねているせいで、障子はまっさらな所がひとつもない。もともと貼ってあった一枚の障子の面積より、花形に切った補修紙の方が多いくらいだ。幼い自分や妹が切り抜いた花もそのまま残っていて、いびつな形のものも多かった。あの、花ともヒトデともつかない形のものは、マンドランが切ったものだっただろうか。もともとの真っ白だった姿が思い出せない、まるでテセウスの舟みたいだ。
めざしねこ
DOODLE遅くなりましたがグロスタの誕生日おめでとうをアラミスに祝ってもらいました。でもこの工場ではグロスタ×ジェレミーを生成しているので、ジェレミーは出てきませんがグロジェレです。
2025.1.21
冗談「誕生日おめでとう、グロスタ」
背後から掛けられた声に瞬間的に姿勢を正す。それから、このままでは怒られてしまうとすぐに力を抜いたが、一瞬の緊張にも彼は気づいているだろう。姿を見ずとも間違いない。そう思いながら振り返る。
「アラミス殿、ありがとうございます」
「いつになったらそうやって肩に力が入らなくなるやら」
「すいません」
予想通り、普段から周りをよく見ている昔の主にはこちらの緊張などお見通しだった。
「はは、冗談さ。おめでとう」
それでも以前に比べれば良くなったことを知っているから、アラミスはその努力を認めて笑った。それからグロスタの正面に立つと、その手に持っていたものを渡した。
受け取ったグロスタはそれを見るなり、ハッとしてアラミスの顔を見た。
2444背後から掛けられた声に瞬間的に姿勢を正す。それから、このままでは怒られてしまうとすぐに力を抜いたが、一瞬の緊張にも彼は気づいているだろう。姿を見ずとも間違いない。そう思いながら振り返る。
「アラミス殿、ありがとうございます」
「いつになったらそうやって肩に力が入らなくなるやら」
「すいません」
予想通り、普段から周りをよく見ている昔の主にはこちらの緊張などお見通しだった。
「はは、冗談さ。おめでとう」
それでも以前に比べれば良くなったことを知っているから、アラミスはその努力を認めて笑った。それからグロスタの正面に立つと、その手に持っていたものを渡した。
受け取ったグロスタはそれを見るなり、ハッとしてアラミスの顔を見た。
めざしねこ
MOURNING前も呟いたんですけど、ジェレミー相手にたまにがっついちゃうグロスタが好きなんですよ……好きなんです!!ジェレミー相手にがっついちゃうグロスタ。グロスタ→→→←ジェレミー。
グロスタはジェレミーのこと好きだけど、向こうは自分のこと好きじゃないって思ってる。ジェレミーはお互いただの処理と思ってるけど、何度もしてるうちに気になってきて(これはただの情)って割り切ろうとしている感じ
2024.10.20
若さと勢い 部屋にやってくるなりグロスタが覆いかぶさってきたので、俺は慌てて奴の顎を掴んで引き離そうとした。
「っ! おいグロスタ! がっつくな!!」
「すいません、今日余裕なくて」
その言葉通り、ぐぐと力を入れられると、不意打ちされたこともあり、こちらが負けてしまった。俺の手が顎から外れると、そのまま貪られるようなキスを何度も繰り返される。音を立て、舌が絡まり、吸われ、唇を噛まれ……さすがにこちらの息が続かない。
「ばっ! か!! 息、させろ!!」
口が離れた隙を見て言うが、本当にこちらを気にする余裕もないのか、自分本位のキスばかりだ。こいつにしては珍しい、と思う。
俺たちは身体だけの付き合いだ。そこに愛情はない。
725「っ! おいグロスタ! がっつくな!!」
「すいません、今日余裕なくて」
その言葉通り、ぐぐと力を入れられると、不意打ちされたこともあり、こちらが負けてしまった。俺の手が顎から外れると、そのまま貪られるようなキスを何度も繰り返される。音を立て、舌が絡まり、吸われ、唇を噛まれ……さすがにこちらの息が続かない。
「ばっ! か!! 息、させろ!!」
口が離れた隙を見て言うが、本当にこちらを気にする余裕もないのか、自分本位のキスばかりだ。こいつにしては珍しい、と思う。
俺たちは身体だけの付き合いだ。そこに愛情はない。