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DOODLEベルジャン(2009/09/23)ここにサインをお願いします晴れてめでたくCR:5のボスに就任した俺だが、まあ普通に考えてついこないだまで鞄持ち上がりのチンピラだった奴がいきなり組織をまとめてなんていけやしない。
俺の仕事はアレッサンドロの親父やカヴァッリの爺様を始めとするお偉方に尻を叩かれつつ、幹部たちから仕事を学び、あいつらが上げてくる書類に片っ端からサインをしていくことだった。
「はいコレもね、ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ――っと」
時代がかった羽ペンでの署名には、ようやくちょっと慣れてきたところだ。俺は机の上に詰まれた書類に、片っ端からさらさらと自分の名前を書き込んでいく。最初の頃よりも、随分と手馴れてきたものだと思う。
だが、ハイペースで次々片付けていると言うのに、山積みになった書類の束は一向に減る気配が無い。
3848俺の仕事はアレッサンドロの親父やカヴァッリの爺様を始めとするお偉方に尻を叩かれつつ、幹部たちから仕事を学び、あいつらが上げてくる書類に片っ端からサインをしていくことだった。
「はいコレもね、ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ――っと」
時代がかった羽ペンでの署名には、ようやくちょっと慣れてきたところだ。俺は机の上に詰まれた書類に、片っ端からさらさらと自分の名前を書き込んでいく。最初の頃よりも、随分と手馴れてきたものだと思う。
だが、ハイペースで次々片付けていると言うのに、山積みになった書類の束は一向に減る気配が無い。
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DOODLEベルジャン+ジュリオ(2009/07/20)トッピングはお好みでトッピングはお好みで
「うまい! うまーい! お、こっちもウマイぞ! っかー、あのジェラテリア当たりだったなジュリオ!」
「はい、ジャンさん。……あ、こっちもうまい、です」
バニラにイチゴ、チョコレート、ミント、レモンにアーモンドにヘーゼルナッツ。甘い香りの、色とりどりのアイスクリーム。手のひらサイズのカップに入って、テーブル中、所狭しと並んでいる。
CR:5のボスに就任して三ヶ月ほどたったある日の昼下がり。
偉大なるコーサ・ノストラのカポである俺は、マッドドッグの異名を持つ幹部ジュリオ・ディ・ボンドーネと共に――アイスクリームの食べ比べ、なんてことをやっていた。
「そっちはイチゴか? 一口くれよ。あ、次はチョコレートアイスにしような、ジュリオ」
7829「うまい! うまーい! お、こっちもウマイぞ! っかー、あのジェラテリア当たりだったなジュリオ!」
「はい、ジャンさん。……あ、こっちもうまい、です」
バニラにイチゴ、チョコレート、ミント、レモンにアーモンドにヘーゼルナッツ。甘い香りの、色とりどりのアイスクリーム。手のひらサイズのカップに入って、テーブル中、所狭しと並んでいる。
CR:5のボスに就任して三ヶ月ほどたったある日の昼下がり。
偉大なるコーサ・ノストラのカポである俺は、マッドドッグの異名を持つ幹部ジュリオ・ディ・ボンドーネと共に――アイスクリームの食べ比べ、なんてことをやっていた。
「そっちはイチゴか? 一口くれよ。あ、次はチョコレートアイスにしような、ジュリオ」
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DOODLEベルジャン(2009/07/12)Io voglio mangiare DOLCE「カジノ? ああ、いい調子だぜ?」
熱々のチーズがたっぷりと乗ったピッツァを喰いながら、俺は片頬を上げてみせた。ちょこんと乗ったオリーブが落っこちないように、自分の顔を皿の上まで持っていってあーん、と食いつく。溶けたチーズと、ジューシーなトマトの酸味がコンボをきめて快楽中枢を刺激する。旨いモン食ってるときって、なんだってこう幸せなんだろうな。
メシのうまさにはテーブルを共にする相手の顔ぶれっつーのも大いに関係するが、今はそれにもまったく問題ない。
CR:5の本拠地――つまりボスである俺の屋敷の一室で、俺と向かい合わせの席についている男の名は、ベルナルド・オルトラーニ。
我等がCR:5の筆頭幹部にして頭脳担当。デイバンの街中を走る電話線から全ての情報がこいつの元に集約して、こいつは即座にその全てを判断して返事をする。電話線をこいつの指示が流れて行き、デイバンはその指示に従って動く。言っちまえばデイバンの脳ミソそのものなのかもしれない。
3510熱々のチーズがたっぷりと乗ったピッツァを喰いながら、俺は片頬を上げてみせた。ちょこんと乗ったオリーブが落っこちないように、自分の顔を皿の上まで持っていってあーん、と食いつく。溶けたチーズと、ジューシーなトマトの酸味がコンボをきめて快楽中枢を刺激する。旨いモン食ってるときって、なんだってこう幸せなんだろうな。
メシのうまさにはテーブルを共にする相手の顔ぶれっつーのも大いに関係するが、今はそれにもまったく問題ない。
CR:5の本拠地――つまりボスである俺の屋敷の一室で、俺と向かい合わせの席についている男の名は、ベルナルド・オルトラーニ。
我等がCR:5の筆頭幹部にして頭脳担当。デイバンの街中を走る電話線から全ての情報がこいつの元に集約して、こいつは即座にその全てを判断して返事をする。電話線をこいつの指示が流れて行き、デイバンはその指示に従って動く。言っちまえばデイバンの脳ミソそのものなのかもしれない。
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DOODLEALL(2010/06/05)マトリカリア 俺が本部へ戻るなり、エントランスで待ち構えていた奴らが一斉に集まってくる。
ボス、カポ・デルモンテ、ジャンカルロさん、シニョーレ・デルモンテ、ジャンカルロ、ラッキードッグ。今までに俺が呼ばれたことのある名前がほとんどここで叫ばれてるんじゃないだろうか、あらゆる立場の沢山の家族が、俺の帰還を目を輝かせて出迎えた。
――いやはや、照れちまうじゃねえの。
四方から伸びてきて握手を求めたり、肩を叩いたりする手の熱烈さがくすぐったくて、時に乱暴なそれがちょっと痛てえ。まあ、時には愛も痛いものなんだってことは聖リタ修道院にいた頃からテレサマンマの愛の鞭に、たんと教え込まれてる。
俺の人生では何度目か数えるのも面倒なくらい。
7919ボス、カポ・デルモンテ、ジャンカルロさん、シニョーレ・デルモンテ、ジャンカルロ、ラッキードッグ。今までに俺が呼ばれたことのある名前がほとんどここで叫ばれてるんじゃないだろうか、あらゆる立場の沢山の家族が、俺の帰還を目を輝かせて出迎えた。
――いやはや、照れちまうじゃねえの。
四方から伸びてきて握手を求めたり、肩を叩いたりする手の熱烈さがくすぐったくて、時に乱暴なそれがちょっと痛てえ。まあ、時には愛も痛いものなんだってことは聖リタ修道院にいた頃からテレサマンマの愛の鞭に、たんと教え込まれてる。
俺の人生では何度目か数えるのも面倒なくらい。
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DOODLEベルジャン(2010.02.28)Il Sole Sorge Anche ~陽はまた昇る~ ◆
気が付けばいつの間にか沈みかけていた太陽が、広間を紅く染め上げていた。
もう、こんな時間になるのか……。空は緩やかに色を変えていったであろうに、まるで気付かなかった。秋も終わりに近づいた季節、夕暮れを迎え空気は冴え冴えと冷え始めている。四角い窓枠から差し込む紅を眺め、CR:5最年少幹部ベルナルド・オルトラーニは、溜息を吐きたい気分を押し隠して静かに吐息を漏らした。
三ヶ月前、二十三歳という若さで幹部に昇格し多くの人々を驚愕させた。そして、その異例の大抜擢にも思わず頷いてしまうような理知的な風貌を持つ青年。それがベルナルドだった。青林檎色の甘そうな色の瞳に知性と強い意志を宿し、同じ色の髪を肩口まで伸ばしている。思わず目を瞠る長身は、今は椅子に深く身を委ねているから分からない。それでも凛と伸びた背は、彼の痩躯に覇気を与えている。それが威厳や風格と呼ばれるものに育つには、今しばらくの時を要するだろう。黒縁の眼鏡を乗せる輪郭に、ほんの僅か残った少年時代の面影が、彼の若さを伝えていた。
31885気が付けばいつの間にか沈みかけていた太陽が、広間を紅く染め上げていた。
もう、こんな時間になるのか……。空は緩やかに色を変えていったであろうに、まるで気付かなかった。秋も終わりに近づいた季節、夕暮れを迎え空気は冴え冴えと冷え始めている。四角い窓枠から差し込む紅を眺め、CR:5最年少幹部ベルナルド・オルトラーニは、溜息を吐きたい気分を押し隠して静かに吐息を漏らした。
三ヶ月前、二十三歳という若さで幹部に昇格し多くの人々を驚愕させた。そして、その異例の大抜擢にも思わず頷いてしまうような理知的な風貌を持つ青年。それがベルナルドだった。青林檎色の甘そうな色の瞳に知性と強い意志を宿し、同じ色の髪を肩口まで伸ばしている。思わず目を瞠る長身は、今は椅子に深く身を委ねているから分からない。それでも凛と伸びた背は、彼の痩躯に覇気を与えている。それが威厳や風格と呼ばれるものに育つには、今しばらくの時を要するだろう。黒縁の眼鏡を乗せる輪郭に、ほんの僅か残った少年時代の面影が、彼の若さを伝えていた。